コロナ死者は公表数字の12倍以上いる?
一方、企業活動はどうか。西村担当相は同日の記者会見で、
「経済活動を再開していくうえで各企業が感染防止策を講じていくことは大前提」
だとしたうえで、
「オンラインでできるのだったらオンラインで、テレビ会議ができるのならならテレビ会議で。テレワークできる部分はテレワークをやりましょう。解除されたからといって、すぐに会社に戻らないでほしい」
と訴えた。
ところで、今回全面解除に踏み切ったが、本当に新型コロナ感染者や死者は減っているのか。日本経済新聞(5月25日付)が「『超過死亡』200人以上 コロナ感染死把握漏れの恐れ 東京23区2~3月」という衝撃的な見出しの記事で疑問を投げかけている。
じつはPCR検査数が圧倒的に少ないことにより、かなりの数のコロナ感染死が一般の肺炎死に隠れているのではないかというのだ。
「新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。同じ期間に感染確認された死者は計16人だ」
というから、実際のコロナ感染死者は公表された数字の12倍以上いるのではないかというのだ。
「超過死亡」とは感染症が流行した一定期間の死亡数が過去の平均的な水準をどれだけ上回っているか示す指標だ。インフルエンザの流行を評価するために開発された。たとえば、肺炎で死亡したとしても、インフルエンザによるものか、持病が悪化して死亡したのか判断が難しい。特に今回のコロナ禍のように、PCR検査数が圧倒的に少ない場合は、本当の死因を見極めにくい。
そこで、過去のインフルエンザ流行時の場合などのデータと比較する。すると、インフルエンザ流行時を上回る「超過死亡」が200人以上出ているというのだ。
日本経済新聞は、こう警鐘を鳴らしている。
「国立感染症研究所は、(超過死亡の)集計は例年、インフルエンザの流行が終わる3月末までの死亡日が対象。入力期限の5月末以降でないと今シーズン全体の分析はできないとしている。検査未確認の死亡数が増えたとみられる4月分の公表は6月以降となる。欧米では迅速な死亡数の公表・集計が進むが、日本は届け出の電子化が進んでいないため集計が遅い」
うがった見方をすれば、2~3月分までの「超過死亡」が明らかになる5月末日を待たずに5月25日に解除を急いだ理由は、ここにあるかもしれないというわけだ。