武藤発言がやぶへび?「対策」って何だよ!?
バッハ会長はインタビューの中で、コロナ問題が終息しない場合、「無観客試合」の可能性や選手村で選手を一定期間隔離するなどの可能性も示唆しました。この件についても問われた武藤事務局長は、「(無観客も含めた)広い意味での『対策』を考えていきたいが、時期尚早」と述べました。
この武藤発言に、すかさず反応したのが海外メディアです。AP通信が早速、「対案なんてあるのか?」といった見出しの記事を発信しました。
Countermeasures needed for Japan Olympics, but what will they be?
(日本でのオリンピック開催に「対策」が必要だが、そんなものあるのか?:AP通信)
countermeature:対策
AP通信は、次のような疑問を呈しています。
武藤氏は「まだ1年以上準備期間がある」と述べているが、多くの国が渡航禁止をしている中で、どのような形で開催をするつもりなのか。IOCも日本の組織委員会も具体的な対策は何も示していない。オリンピックとパラリンピック合わせて、1万5000人以上の選手をどうやって「隔離」するつもりなのか? 何千人ものスタッフはどうするのか?
たとえワクチンが開発されたとしても、若くて健康なアスリートに優先的に投与することができるのか?
AP通信が指摘するように、ワクチンの開発が間に合ったとしても、重傷者を犠牲にして五輪・パラリンピックに参加するアスリートや関係者に優先的に投与するなど「あり得ない」選択でしょう。さらに、観客も含めて何万人、何十万人もの人間にワクチンを投与したり、渡航前後の一定期間「隔離」したりなどできるのでしょうか。
こうしたなか、アイルランドのIOCメンバーは、バッハ会長の発言を「驚きはない」「make sense」(理にかなっている)と評価しました。
It does make sense to me that if it doesn't go ahead next year, it would be cancelled.
(もし来年に開催されない場合は中止にするという考えは理にかなっていると思う)
このメンバーは「半年前だったら驚いたかもしれないが、コロナが感染拡大した今となってはまったく驚かない」と述べています。
今のところ、「来年が無理でも再延期すべきだ!」といった「東京五輪開催強硬論」は見かけません。ひたひたと「中止」に向けて風向きが変わってきたような、そんな静かな「世のうねり」を感じます。
それでは、「今週のニュースな英語」はIOCメンバーのコメントから「make sense」(理にかなっている)を取り上げます。ビジネスでも日常会話でもよく使われる表現です。
たとえば会議でプレゼンをした後、「ちゃんと伝わったかな?」と不安を感じたらこう言ってみましょう。
Does it make sense?
(伝わりました?)
「Does it」を省いても大丈夫です。
Make sense?
(伝わりました?)
相手の話やプレゼンに深く理解した時にも使います。
That makes sense
(なるほど!)
逆に、つじつまが合わないと感じた時は、否定形で使います。
It doesn't make sense
(わけわかんない!)
半年前には誰も想像しなかった「五輪中止」の可能性。巨額の延期費用の分担ですらまだ決まっていないようですから、「安倍首相チーム」とIOCとで「熱い戦い」が繰り広げられるのも「make sense」(さもありなん)だと思います。(井津川倫子)