出でよ! ユニークなオンリーワン自治体 不足する「ヒト・モノ・カネ」解決のヒントは人と情報の行き来を増やすこと 新たな「生涯活躍のまち」中野孝浩参事官に聞く(後編)

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   内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が推進する、新たな「生涯活躍のまち」には、参加を表明している366の地方公共団体がある一方で、減ってきたとはいえ、まだ157もの団体が「推進する意向はない」と答えている(2020年2月1日時点)。

   その理由は、「ヒト・モノ・カネ」の不足。なかでも、財源不足の悩みは深刻だ。しかし、 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の中野孝浩参事官は、「補助金を活用する方法もありますが、それに頼らない方法を実践している地方公共団体もあります」と話し、そういったモデルケースを「『生涯活躍のまち』でつくっていきたい」と言う。その取り組みを聞いた。

  • 「日本全国から多くのモデルケースをつくっていきたい」と語る、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の中野孝浩参事官
    「日本全国から多くのモデルケースをつくっていきたい」と語る、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の中野孝浩参事官
  • 「日本全国から多くのモデルケースをつくっていきたい」と語る、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の中野孝浩参事官

地方の財政負担をどう考えればいいのか!?

   ――財政負担を理由に、「生涯活躍のまち」の推進に二の足を踏んでいる地方公共団体が少なくないようです。

中野孝浩参事官「たとえば、東京でビジネスになっても、地方では成り立たないことは少なくありません。そうなると補助金頼みになりがちですが、それでは健全な姿とは言えません。補助金はいつか終わってしまうので、特に運営経費については、安定的なビジネスモデルを継続的に、コミュニティに根付かせることが重要な課題になっていると思っています。
肝心なのは、各市町村が直接事業を進めるのではなく、中核となるNPO法人や一般社団法人、社会福祉法人、医療法人、もちろん地元企業でもかまいません。中核的なコミュニティの担い手となるような法人が、あまり儲からないけど重要な事業であるとの認識を持って、できるところは何があるのか、といったことを考えていただきたいと思っています。そんなモデルケースを多く示していけるような取り組みにしていきたいですね」

   ――地方創生の事業は補助金が活用できると聞いています。そのことは地方公共団体の方々はご存じなのですよね。

中野参事官「『お金がないのでできない』と言う団体には、地方創生推進交付金をはじめとしたさまざまな補助制度を、地域のニーズや使い道に合わせてご活用いただきたいと思っています。石川県輪島市の空き家活用などの先進的な事例では、役所や地域の中核的な法人が連携して、国土交通省や厚生労働省などの多様な補助事業や福祉の制度などもうまく組み合わせて活用しています。
たしかに、使える補助金制度があまり知られていないことがあるようなので、その辺りは活用方法を含め周知していきたいと思います。ただ地方公共団体も、補助金ではないカタチで収入を得られるようにしていくため方法を模索していて、いくつかモデルケースが出てきています」

   ――そのモデルケースを、教えてください。

中野参事官「鳥取県南部町が、その一つです。ここでも空き家問題がありました。ただ、放置してしまうと家が傷んで、特定空き家になりかねません。空き家を相続した方も、地域の役に立つのであれば、無償でもいいから、よい形で活用してほしいという意向をお持ちです。そこで町と、建築士の資格を持つ方が理事長を務め、空き家の活用に力を入れているNPO法人・南部里山デザイン機構が協力。NPO法人が空き家を安価で借り上げて、移住者の住まいとしてリーズナブルな家賃で貸し出し。その家賃で、家の改修費用や必要な活動費に充てるという、おもしろいビジネスモデルを構築しました。
千葉県旭市の事例ではスーパーマーケットと多世代交流拠点を組み合わせる興味深い官民連携プロジェクトを進めていますが、一般的に、人が集まれば住まいのニーズも高まりますから、住宅メーカーに投資していただくとか、地方銀行や信用金庫がアイデアを出して資金調達を指南することで、金融と事業者が一緒になって官民連携を進めるなど、いろいろな発展が期待できます。 補助金による応援は一時的な支援ですので、やはり民間資金をベースに、安定的かつ継続的に事業が継続できるビジネスモデルをたくさんつくっていくことが必要だと考えています」
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