新型コロナウイルスの感染拡大防止のために出されていた緊急事態宣言が解かれた地域もあり、在宅ワークから徐々に出社するようになった方もいらっしゃるようですね。
今年(2020年)は5月に入っても肌寒い日もあって不安定な気候ですが、いよいよ「クールビズ」が始まりました。今回はクールビズ期間の男性ファッションがテーマです。
基本はビジネスの場でふさわしいのはスーツに近い装い
クールビズは、地球温暖化対策の一環として、2005年から政府が提唱する「過度な冷房に頼らず、さまざまな工夫をして夏を快適に過ごすライフスタイル」のことです。男性は、夏季に28度以上の室温に対応できるようにネクタイや上着をなるべく着用しない服装が推奨されています。
また、2012年からは「スーパークールビズ」といって、冷房を使わなくても仕事に取り組める服装として、ノーネクタイ・ノージャケットにとどまらず、官公庁の職員もポロシャツやアロハシャツの着用が可能となりました。
沖縄県では、アロハシャツに似たシャツ「かりゆしウェア」を推進するなど、観光アピールにも活用されています。
こうした歴史があり、男性のクールビズファッションは浸透してきましたが、まだまだビシッと決まっているクールビズの方が少ないように思います。では、実際には何を着たらいいのでしょうか?
クールビズとはいえ、ビジネスの場でふさわしいのは、スーツに近い印象になる装いをすることです。「かりゆしとチノパン」のように、服装によるブランディングが必要な職場でない限り、カジュアルは避けましょう。ビジネスらしさがなくなってしまいます。
アンクル丈でスッキリ見せるのはアリだけど......
以前のコラム「【新入社員の服装チェック】スーツのコーディネート〈男性編〉基本のスタイルを持てば、着こなしバッチリ!」(J-CAST会社ウオッチ2020年4月10日付)でもお伝えしたように、スーツはチャコールグレーとネイビーが基本の色です。シャツは白の無地を揃えるのがオススメでした。
それにならって、クールビズの装いも白の無地のシャツにチャコールグレーやネイビーのスラックスがオススメです。スラックスは、シワになりにくく光沢感のある生地を選びましょう。シワがなく光沢感のある生地は、カジュアルなチノパンと一線を画します。
サイズ選びも重要です。涼しさを求めて大きめなサイズを選ぶ方もいるようですが、だらしない印象になってしまいます。シャツもパンツもジャストサイズを選びましょう。
パンツであれば、丈に注意しましょう。丈が長すぎるとだらしない印象になってしまうので、靴に当たるかあたらないかくらいの長さにしましょう。
仕事的に素足が見えても問題がない業界の方は、夏だけアンクル丈にすると裾がたるまずにスッキリ見せることができます。
次にシャツですが、長袖派と半袖派に分かれるかと思います。決して半袖派を否定するわけではありませんが、ヨーロッパ発祥のスーツ文化において、正解は長袖シャツです。
ヨーロッパは日本と違って涼しいという声が聞こえてきそうですが、半袖は日本式であり、海外の方との取引がある方や重要な立場の方は避けるのが無難でしょう。
長袖をロールアップするほうが、半袖よりもスマートなスタイルになります。
最後に相手に、ひと味違った印象を残すために、ジャケットを着用するのもオススメです。「シワになりにくい」「洗濯ができる」「通気性が優れている」などの高機能な極薄のジャケットが販売されています。こちらもネイビーの無地がオススメです。パンツと一緒に1セット持っておくと重宝します。
「ひんやり」衣料はどんどん進化している
このようなビジネス向けの機能性に優れた衣料はどんどん進化しています。汗をかいても、さらりと着こなせるシャツや冷んやりとした質感の肌着。通気性・吸水性、お手入れのラクさなどに優れたものも多くあります。積極的に活用することで、見た目よりも快適に過ごせますので、試してみると良いでしょう。
クールビズの取り入れ方は企業によってさまざまですが、ポイントは「相手に不快感を与えずに、快適に過ごせるか」です。そのため、単なるカジュアルやファッション性を目的とした装いは好ましくありません。
クールビズとはいえ、ビジネスにおけるファッションは、相手への敬意を表すコミュニケーションツールです。ぜひ機能性も取り入れながら、上記の着こなしを意識してみてください。きっとクールビズファッションでも、ビジネスにひと役買ってくれることでしょう。(入澤有希子)