日経新聞も認めた「輸出規制は日本企業にブーメラン」
一方で、韓国メディアが「日本に勝った!勝った!」ともろ手をあげて喝さいを叫ぶニュースが飛び込んできた。
日韓の対立は2019年7月、半導体の重要な素材3品目を日本側が輸出管理強化(輸出規制)したことから始まったが、J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では2020年5月13日付「【日韓経済戦争】日韓衝突から11か月 韓国が「勝利宣言」? 日本の輸出規制中、ついに官民一体で「脱日本」に成功!」の記事で、韓国側が国産化や欧米からの供給確保によって、日本企業に依存しない態勢を築き上げたことを伝えた。
このため、これまで韓国に部品を供給してきた日本企業が主な取引先を失う形になり、苦境に立たされていることを日本経済新聞が2020年5月20日付「韓国、脱・日本企業急ぐ 輸出管理で素材会社の打撃続く」がこう伝えたのだ。
「日本のフッ化水素メーカーのステラケミファの2020年3月期純利益は前期比18%減少した。特に半導体生産に使われる高純度フッ化水素(編集部注・輸出管理3品目の1つ)の出荷量は30%落ち込んだ。ステラケミファは『韓国向け輸出管理の運用の見直しなどを背景に半導体液晶向けのフッ化水素の輸出販売が減少した』と明らかにした」
「また別のメーカーである森田化学工業も事情は同様だ。同社は1月に輸出を再開したが、韓国への輸出規模は規制強化前と比較して30%ほど減った状態だ。同社は『一度奪われた分を取り返すのに時間がかかる』と話した」
この日本経済新聞の報道に、中央日報(5月20日付)は「日本、対韓輸出規制でブーメラン...『素材企業の業績相次ぎ悪』」という小気味よさそうな見出しをつけ、こう結んでいる。
「輸出規制の衝撃に韓国企業が急いで代替品を投入したことで、むしろ日本企業にブーメランとなったということだ。日本が今後輸出規制を緩和するにしても韓国の日本企業依存度が再び上がるのは容易ではないだろう。韓国半導体産業協会の安基鉉(アン・ギヒョン)常務は、日本経済新聞に対して、『仮に日本の輸出規制が2019年7月以前に戻っても、一度置き換わった材料は日本製には戻らない』と話した。日本経済新聞は『日韓政府のにらみ合いは日系企業の現場にしわ寄せをもたらしている』と記事を結んだ」
(福田和郎)