旅行業界が大ピンチだ。新型コロナウイルスの影響で、インバウンド需要は消え、国内旅行も他県への移動が自粛されていることで、ホテル・旅館をはじめとした観光地の痛手は計り知れない。観光バスなどの利用も、ほぼ休止状態。2020年5月20日には、埼玉県で路線バスを運行する「けんちゃんバス」の丸建自動車が経営破たん。深刻の度合いが増している。
そうしたなか、生き残りを賭けた新たなツアーの開発がはじまった。
バスツアーと貸切ハイヤーを「融合」した日帰りツアー
貸切観光バスや旅行業の株式会社平成エンタープライズ(埼玉県志木市)は、ウィズ・コロナ時代を見据えて、バスツアーの特徴と貸切ハイヤーの利点を組み合わせ、「新しい旅行スタイルを創造した」というツアーを発売。2020年5月20日に発表した。
出発日ごとに、最大3組の参加者を募集する。ミニバンタイプの車両で朝、東京23区と武蔵野市、三鷹市の自宅あるいは希望場所から出発、旅行先をめぐり同日夜に出発場所に戻る。
たとえば、6月末~9月末まで期間が設定されている「鳩待峠コース」(群馬・尾瀬エリア)の料金は、1人1万3400円~1万4400円。他のコースも用意している。
コロナの影響で旅行市場は今後、いわゆる3密を避ける製品ニーズが高まるとみられ、平成エンタープライズでは、「大人数でリーズナブルな従来のツアーだけではなく、少人数かつ自宅までの送迎つきのツアーにも力を入れていく」としている。
希少な技術生かして再開の学校を除菌
●休校校舎のカーテンと児童の上履きを無料クリーニング
茨城県と千葉県を中心にクリーニング店を展開する有限会社谷川クリーニング(茨城県神栖市)は、神栖市や茨城県鹿嶋市、千葉県銚子市で長期休校中の小・中学校を対象に、生徒らが安心して新学期を迎えられるよう、校舎のカーテンや上履きの無料クリーニングを行っている。5月21日の発表。
4月25日から受付をはじめ、すでに18校分904枚のカーテンと上履き600足のクリーニングを完了した。
谷川クリーニングは、全国でも数少ない靴クリーニングの技術を保有。5月いっぱいで休校期間が終了することを見越して、固有の技術を生かすなどして久しぶりに再開する学校の除菌・衛生維持に貢献することを企画したという。
●臨時PCR検査センターに医療従事者の待機用キャンピングカー
ドライブスルー方式などをまじえ、各地で開設が進むPCR検査センター。キャンピングカーのシェアリングサービスなどのCarstay(カーステイ)株式会社(東京都新宿区)は、公園などに設けられる臨時のPCR検査センターに医療従事者が待機、休憩に使えるよう、大型キャンピングカーを提供する。5月21日の発表。
提供先は静岡県藤枝市で、6月から3か月間、総合運動公園にPCR検査センターの開設を予定している。これに合わせて、Carstayは、長さ8.2メートル、幅2.5メートル、高さ3.1メートルの大型キャンピングカー1台を設置する。
PDR検査センターは、検査そのものの設備のほか、付帯する後方設備も必要。Carstayでは、医療機関向けにキャンピングカーを病床用や休憩所として提供する、新型コロナ終息を支援するための「VAN SHELTER(バンシェルター)」プロジェクトを実施中で、今回の藤枝市への提供はその一環。5月21日時点で、4か所の医療機関に8台のキャンピングカーを無償で貸し出している。