東京株式市場の日経平均株価は2020年5月14日、あっさりと再び2万円を割り込んでしまいました。その後も2万円を境にした攻防が続いています。同様に、米ニューヨーク株式市場のダウ30種平均株価も、かなり重い相場となっています。
トランプ米大統領が経済再開を急ぐなか、新型コロナウイルスの「第2波」への影響が出るのではないかと警戒を招く一方で、ウイルスの発生源をめぐって米中関係が悪化してきており、リスクが高くなってきているように感じます。
値崩れ原因の一つに「レポ取引」か?
また、値崩れの原因にはFRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和の反動もあげられると、考えています。その反動の一つが、債券と資金を一定期間交換する「レポ取引」の返済期限が迫っていることです。
FRBはコロナによる経済停滞を打破するために、4月下旬~5月上旬にかけ断続的にレポ取引を実施し、計3兆ドルを市中に供給しましたが、その返済期限の第一回目が5月18日です。
返済期限ごとに毎回50兆円のドル需要が発生するため、機関投資家を中心に売りが相次ぐのではないか、と言われています。ちょっと予測がつかない値動きとなってきています。
EC比率の高いアパレルは健闘している
今週のピックアップする経済ニュースは、アパレル各社のここ1か月の業績です。アパレル大手のレナウンが民事再生法を申請、事実上倒産したニュースもありましたが、ここ最近、アパレル業界はかなり厳しい状態が続いています。
その理由は、やはり新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、外に買い物などに出る人が少なくなったためです。アパレルや外食、小売りなどの実店舗を多く抱える企業は、その分体力が削られていくからだと考えています。なので、ここ1か月の売り上げデータを見てみると、売り上げのEC比率の高い企業(女性向け下着通信販売「ピーチ・ジョン」など)が比較的ダメージを抑えられていることがわかります。
また、ワークマンのように商材の多角化を進めている企業(一般消費者、作業者両方向けの商品を販売)も比較的売り上げは落ちていないように見えます。
直近だと、オンワードホールディングスが既存店の半分にあたる1400店舗を閉店し、ECに重点を置くというニュースもあり、アパレルの売り方が変わっていくのだなぁ、と実感しています。
このコロナ禍の影響でさまざまな業界の「ルール」も大きく変わっていくと思っていて、その流れを最初につかんだ企業が伸びると考えています。今後も注意してウォッチし続けたいと思います。
では、また来週!(馬医金満)