【襲来!新型コロナウイルス】テレワーク中のWeb会議に幼児抱っこで参加ってアリ?「仕事なのに非常識」「大目にみてあげて」ネットで大激論!

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「仕事の会議なのに幼児を抱っこして参加するって、非常識!」
「いや、外出自粛で親も子ももう限界。大目にみてあげようよ」

   新型コロナウイルスの拡大でテレワークを余儀なくされている人が多いなか、自宅からのWeb会議に「子連れ」で参加する人をめぐって、ネット上で賛否両論が激しく戦わされている。

   働き方に詳しい専門家に、話を聞いた。

  • 幼児を抱っこしたままのWeb会議はアリ?(写真はイメージ)
    幼児を抱っこしたままのWeb会議はアリ?(写真はイメージ)
  • 幼児を抱っこしたままのWeb会議はアリ?(写真はイメージ)

「仕事場に子どもを連れて来るのと同じ。絶対になしです」

   話題のきっかけになったのは、女性向けサイト「発言小町」(2020年3月29日付)の載った「テレワーク・子供を膝に乗せてスカイプ会議」というタイトルの次の投稿だ。

「スカイプ会議で時々幼い子を膝の上に乗せて参加する人がいます。その人が『うちの子が...』と話題に上げても誰もが見事に子どものことは触れず、スルーしていました」

   ところが最近、途中参加の人が「可愛いですね」と言ったら、毎回幼児を膝に乗せて登場するようになった。

   投稿者は、

「在宅勤務は働く場所を家に移しただけで、あくまでも仕事中であり会議です。子どももペットも介護中の親も、スカイプ会議には映らないようにして頂きたい。これは今の状況にそぐわない間違った考え方でしょうか?」

と問いかけるのだった。

   この投稿に対し、「子どもを抱いて仕事の会議に参加するなんて非常識」という賛成意見と、「仕方ない事情があるなら、大目に見てあげれば」という反対意見とほぼ半々だった。

   まず、「仕事の会議なのだからあり得ない」という意見は――。

「仕事場に子どもを連れて来るのと同じ。絶対になしです。途中参加の人、バカじゃないのって思っちゃいます。なんで声をかけるかね」
「その人は我が子自慢をしたいだけ。お仕事だから静かにしていてね、画面に映さないのがマナー。仕事で会議に参加している皆さんに失礼です。どうしても側に置いておかなければ泣いてしまう状況なら、皆さんにお伝えして、『抱いていないと泣き叫ぶので、膝に乗せてよろしいでしょうか?』と断るべきです」
「会議中に部屋の構造上、どうしても後ろで遊んでいる姿が映り込むとかならともかく、わざわざ膝の上に乗せてというのは、ありえません。しかも『うちの子が...』って。会議は雑談の場ではないだから、上司が厳しく注意すべきだと思います」

「親も子どもも限界です。邪魔しなければいいのでは」

   もっとも、「あり得ない派」の中にも、こんな意見がある。

「私も以前は同じような意見でしたが、最近はもう仕方がないかもなーと思っています。同僚にお子さんの世話をしながら打ち合わせの電話をする人がいるのです。そのせいで会話がなかなか成立しないので、私としてはやめてほしいのですが、お子さんの状況を知ってしまい、今ではよほど仕事に支障が出ないという条件付きなら仕方がないと思うようになりました」

   一方、「親も子どもも限界です。大目に見てあげては」という意見は――。

「幼稚園と学校が休みになってもう1か月以上。ろくに外遊びもできずに耐えています。珍しい物(=Web会議)に食いつくのは当然です。部屋の数によっては子どもも写りこむし、泣き声、笑い声も入りこむ。子どもを静かにさせておく体力気力は残っていません」
「私は邪魔しなければどっちでもいいです。映り込むくらいなら全然構いません。子どもが親の膝に乗り、おとなしくしている場合でもダメだという場合は、その理由を知りたいです」
「コロナ禍の時期に、その程度でキーキー言うような職場や人間って、その程度なのだろうなと思うだけです。器の大きさがこういうところに出ますね」

Web会議の「幼児同伴実験」では意外に好評だが......

   ところで、Web会議の「子ども同伴」について取り上げた資料があるか調べたが、意外なことに見当たらなかった。ただし、実際にテレワーク中に幼児を抱いてWeb会議に参加したデータがみつかった。「V‐CUBE」(ヴイキューブ、東京都港区)が運営するサイト「テレワークナビ」の「『子連れ会議』は実際どうなのか。社内会議を実際に子供連れでやってみた」(2017年12月5日付)という記事に載った同社のママさん社員の実験である。

   ヴイキューブはもともと、働き方改革を推進するためWeb会議、Webセミナー、テレビ会議の普及を事業にしている会社だから、社員たちの「理解度」が一般的な会社と違うことも考慮する必要があるが......。

   「実験」では本社での会議に幼児を連れていくケースと、自宅でのWeb会議に幼児をそばにいさせるケースを比較した。Web会議の場合、幼児は最初の10分、部屋のオモチャで遊んでいたが、25分後ママのそばに移動、抱っこする。40分後、機嫌が悪くなり泣き出したため、パソコンマイクをミュート(消音)。ママは抱っこしたまま他発表者の声に耳を傾け、会議終了まで泣き止まなかった。

   会議参加メンバーに「子連れWeb会議」の感想を聞くと、

「前半の泣く前はまったく問題なく、いつもの勉強会と同じ。後半は子どもの泣き声で発言が聞き取りづらく、やや支障があったが、マイクをミュートにしたことで影響は少なかった」(男性)
「自分も2人子どもがいるので、子どもをあやしながら他発言者の話を聞くのは大変だろうなと気になったが、勉強会は問題なく進めることができた」(女性)

と好意的な反応だった。

   ママさん社員は、

「(子どもが参加する)Web会議は、子どもが泣き出すと抱っこをするので腕が塞がってしまいタイピング作業ができない。しかし、ミュートで泣き声を相手に聞こえないようにするなど、いろいろな工夫をすることで問題なく会議ができる。会社に連れて行くよりよかった」

と、結論付けている。

「子どもが騒がなくても、いつか騒ぐのではと不安になる」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルグループの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、今回の在宅テレワークのWeb会議に「子ども同伴アリかナシか」論争について意見を求めた。

   ――今回の論争をお読みになって、率直にどんな感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「オフィスに出勤することが前提であれば、通常は起こりえない問題が、在宅勤務する機会が増えることで発生してしまう象徴的な出来事だと感じました」

   ――これまで、今回の論争に関係のありそうな調査をしたことがありますか。

川上さん「Web会議での調査ではありませんが、子連れ出勤の是非について働く女性の意識調査を行ったことがあります。概ね賛否は半々となっています。在宅勤務のWeb会議の場にお子さんがいるというのは、職場にお子さんを連れてくるのと近しい状況だと思います。そう捉えると、子どもを抱いてWeb会議に参加することに対しては、子連れ出勤と同様に、賛否は分かれるのではないかと考えます」

   ――確かにヴイキューブの例もありますが、会社の文化・風土によっても違ってくるでしょうね。

川上さん「会社によって、細かいルールはケース・バイ・ケースかと思いますが、基本的な考え方として、在宅勤務であっても、オフィスで働くのと同じという捉え方をしている企業が多いと思います。Web会議であっても、日頃から子連れ出勤を奨励している会社を除き、子どもが会議に参加している状況はイレギュラーと捉えられるのではないでしょうか。もし子どもが騒いで会議の邪魔になる状況が出てしまえば問題だし、騒いでいなくても、いつか騒ぐのではないかと参加者に不要な気を使わせてしまう可能性はあると思います」

「子どもの参加でなごみの効果が高まるのなら......」

   ――「子ども同伴Web会議」については、外出自粛が長く続き、親も子どもも限界にきていることもあります。大目にみてあげるべきだという「容認」意見が半分くらいありますが、川上さんは個人的には許す立場ですか、それとも反対の立場ですか?

川上さん「場所がオフィスか自宅かの違いだけであって、重要なのはきちんと『仕事』ができるかどうかだと思います。仕事上支障がないのであれば、子どもを抱いてWeb会議に参加することをむやみに否定する必要はないと思います。ポイントは、子どもを抱いてWeb会議に参加することに対する考え方は人それぞれであることを踏まえ、Web会議の画面に子どもが表れた時に、参加者がどのような感情を持つかを把握したうえで適切に判断することだと考えます。
もし仮に、Web会議中に子どもが誰かの発言を遮って中断してしまうようなことがあれば、仕事に支障が出てしまいます。また、シリアスなやりとりの場に子どもを参加させると、雰囲気が損なわれるケースもあるかもしれません。会社組織の会議は、関わるメンバー全員が最高のパフォーマンスを発揮できるように力を合わせなければなりません。そんな『チームでの成果最大化』という観点から見た時に、よほどの事情がない限り、子どもを抱いてWeb会議に参加することには反対です」

   ――なるほど。あくまで「仕事」というキーワードが大切であるということですね。

川上さん「そのとおりです。しかし一方で、さまざまな活動が制約されている現在、保育園に預けづらい社員もいるはずです。子どもを抱きながらWeb会議する以外に仕事と生活を両立させる方法がない、というケースもあるでしょう。
また、皆で和気あいあいとアイデアを出し合う会議であれば、子どもを抱いてWeb会議に参加するほうが雰囲気を和ませて効果が高まるケースもあると思います。あくまで私見ですが、そういった場合では、参加メンバーと意識を共有した上で、柔軟に対応してよいのではないかと思います」

(福田和郎)

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