新型コロナウイルスの影響で外出自粛や在宅勤務が続き、体調管理に苦労している人が多いという。食べる機会が多くなりがちな一方で、外に出ないから運動不足。「コロナ太り」という言葉も聞かれるようになった。
本書「スゴ伸び」は、そんな巣ごもりのときにこそ最適というストレッチを紹介。テレビなどでもおなじみ、自律神経研究の第一人者として知られる小林弘幸さんが開発した、誰にでもできる健康法。
「スゴ伸び」(小林弘幸著)小学館集英社プロジェクト
アスリートじゃなくてもできる
通勤時間や移動距離、運動量は人によってまちまちだが、在宅勤務や休校などで1日中家いると、その分の運動量は減ってしまう。通勤では単に歩くだけではなく、混んだ電車に乗ってこなす運動量もある。運動が不足すれば筋肉の量が減り、基礎代謝が低下して太りやすくなってしまう。
緊急事態宣言が延長されて、運動不足による健康への影響を懸念する専門家らが、加藤勝信・厚生労働大臣に対策の強化を訴えるということがあった。そのときの筑波大学大学院の研究グループの報告によると、テレワークに切り替えた企業の社員を調べて1日当たりの歩数が70%減っているケースがあった。これは高血圧や糖尿病などのリスクが高まるレベルという。
運動不足の問題は、緊急事態宣言が延長される前から懸念されており、テレビでは番組中や、その合間に体操をリードする企画をオンエアしている。だが、そうしたビデオでリーダーを務める人たちの多くは、いかにもアスリートという佇まいで、自宅でその動きを手本に動くのは気恥ずかしいというか、気が引ける。もっと手軽に、もっと簡単にできることはないだろうか......。
そう考えている人たちには、この「スゴ伸び」は試してみる価値があるだろう。健康維持に欠かせない自律神経に着目して、その専門家が開発。全身を伸ばすことで血流を良化させる。
どの筋肉がどう反応するか、3年かけて検証
「スゴ伸び」にある動作は「伸ばす」だけだが、従来のストレッチとは違い、筋肉をほぐしたりすることで運動のパフォーマンスを向上させることが目的ではない。自律神経のバランスを整えるようデザインされていて、「自律神経のストレッチ」を行うものだという。
どこを動かすと、どの筋肉がどのように反応して、結果的にどうなるかということを3年かけて検証し、「副交感神経の数値が上がる」「血流がよくなる」など、実証されたことだけをまとめた。たとえば両手を上に伸ばすときに、手を交差させるだけで伸び方の違いが実感できるという。
著者の小林弘幸さんは、順天堂大学医学部教授で日本体育協会公認のスポーツドクター。「自律神経のスペシャリスト」で、プロスポーツ選手、アーティストや文化人らのコンディショニングや、パフォーマンス向上の指導に携わっている。メディアへの出演も多い。
立って、座って、また寝たままでもできる動きを、写真や図とともに解説。「運動が苦手」「体力に自信がない」人に特にオススメという。
「スゴ伸び」
小林弘幸著
小学館集英社プロジェクト
税別1000円