受験勉強みたいに不妊治療を頑張っていた
現在、Y香さんは47歳。Y香さんに、なぜ不妊治療を7年も続けたのか、聞いてみまし た。「それまでの人生で、勉強も仕事も結婚も、全部計画して、努力して手にしてきたの で、納得いかなかったというか。努力して叶えられないことなんてないと思ってきたんで すよね。でも、やっぱりみんなが言うように『授かりもの』なのかなぁって思ったりしま す」 と、話してくれました。
そして、 「私、どうして子供が欲しかったんだろうって考えました。本当に子供が欲しかったっ ていうよりも、子供も仕事も手に入れている人に負けたくないとか。親に認められたいと か。なんか周りの目を気にして、周りの評価軸に惑わされて、受験勉強を頑張るみたい に、不妊治療を頑張ってしまっていたのかもしれません」
と、こぼしたのです。
おそらくY香さんは今でも、子供を授からなかった現実を受け止めきれず、また納得で きていないのかもしれません。しかし、薄々は気づいているのです。周りの目を気にして 自分を飾ったり、駆り立てたりしても、必ずしも思いどおりにならないことがあるという ことを。
子供は「授かりもの」といいますが、授かりもの=「神仏や目上の人などから与えられ る、金では買えない大切なもの」には、いろいろあります。その一つが、その人が歩んで きた人生、つまり経験・体験、生き方ではないでしょうか。
確かに子供は授かりものですが、Y香さんのように、子供を持とうと努力したこと、その結果子供を持てなかったことも、一生懸命生きた軌跡、経験という意味ではこの体験 もまた「授かりもの」ともいえるのです。
いつの時代も、女性にとっては妊娠や出産は大きなライフイベントですが、Y香さんの ように、望んでいてもやむを得ず断念せざるを得ない場合はあります。周囲がどんなに慰 めても、そう簡単には気持ちを切り替えられないことはあります。
しかし、どんなときでも幸せに生きていけるよう、賢いサバイバー女子の皆さんは、自 分が歩んできた道を、自分にしかできなかった経験を、そして未来を「胸を張って」語っ てほしいと思うのです。
【きょうの格言】 「授かりもの」の意味を噛みしめる。 計画どおりに行かないのが人生だ! それでは、また次回!(丸の内ミカ)