米国ではクルマのネット販売が活況
最大のポイントは、新型コロナウイルス感染拡大の収束とそれに伴う経済の回復が、「果たしてトヨタのシナリオどおりに進むのか」という点にあるが、これはかなり不確実性の高い予想と言わざるを得ない。
ただ、トヨタの予想をサポートするいくつかの予測があるのも確かだ。通常、経済の悪化は生産活動が悪化することで、賃金や雇用が悪化し、消費活動が悪化するという経路を辿る。しかし、新型コロナウイルスによる経済悪化は、緊急事態宣言による外出自粛を通じて賃金や雇用、消費活動の悪化から始まっている。つまり、生産活動の悪化が原因ではないため、外出自粛の解除により、消費活動が回復しやすいという考え方だ。
加えて、飲食・サービスなどに比べて、耐久消費財の回復は早いと見られている。耐久消費財の代表格であるクルマは、米国でネット販売が活況になっているように、回復が望めそうだ。
外出自粛が解除されれば、我慢していたクルマなどの耐久消費財は購入するが、我慢していた東京ディズニーランドには毎日は行かないし、毎日飲みにも行かないという現象だ。
だからと言って、トヨタのシナリオが当たっているのかは「神のみぞ知る」ということだろう。2020年9月中間期になれば、かなり信頼性の高い予想が出てくることになるはずだ。(鷲尾香一)