コロナ禍でも下がりそうで下がらない首都圏マンションの価格 メディアは不安を喧伝するけれど......

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3月の新築マンション価格、近畿圏は値上がりしていた

   新築マンションの価格は、簡単に言えば土地代と建物の建築費の合計である。そのため、都心部が高いのは当然だが、ここ数年は建物の耐震構造や設備の充実による建築資材の高額で、新築マンションの価格は高水準を維持してきた。昨今の人手不足による人件費の高騰もある。

   日本経済新聞の記事では不安要素ばかりだが、分譲マンションは未だ値崩れしている様子は見られない。

   不動産経済研究所が4月16日発表した3月の首都圏マンション市場動向によると、発売戸数は都区部を含むすべての地域で発売が減少。首都圏では前年同月比35.8%減の2142戸で、7か月連続で前年実績を下回った。

   1戸あたりの平均価格も、6156万円と前年同月に比べて396万円(6.0%)低下。しかし、1平方メートルあたりの単価は97.3万円と、2.6万円(2.7%)上昇。さらに、月間契約率は2月から10.7ポイントも急上昇して、好不調の目安とされる70.0%に到達。2019年8月以来の水準を回復した。

   一方、近畿圏の新築マンションの市況をみると、発売戸数は前年同月比5.5%増の1528戸。1戸あたりの平均価格は4905万円と、前年同月から11.4%も上昇した。月間契約率も、わずかに70%を下回ったが、69.2%と踏ん張った。

   このように、分譲マンションの市況は3月を見る限り、「好調」とは言い難くなっているものの、少なくとも「値崩れ」しているようには思えない。新型コロナウイルスの影響は、短期的にはまったく見通しが立たないが、少なくとも大都市圏ではコロナ禍が終息すれば、また高い水準に戻るのではないだろうか。(島田英敏)


プロフィール
島田英敏(しまだ・ひでとし)

会計事務所や建築設計事務所を経て、1993年よりコンサルタント会社に勤務。専門は相続対策コンサルティングで、遺言・遺産分割、民事信託などに関する助言、不動産を活用した対策などを行っている。
東京都生まれ。

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