新型コロナウイルスの影響は、企業の新卒者の採用活動にも影を落としている。
リクルートキャリアによると、来春(2021年卒)の大学生の就職内定率は2020年5月1日時点で、45.7%。20年卒と比べて5.7ポイント下回った。13日の発表。内定率が前年同月を下回ったのは、現行の採用スケジュールとなった17年卒以降で初めて。就活生の不安が高まっている。
就活生に広がる不安......
4月になると、多くの就活生がリクルートスーツに身を包み、面接などの「対面での選考」に臨むが、今春はそんな光景が見られない。21年卒の学生への「対面選考」の実施率は35.2%に大幅ダウン。前年より34.9ポイントも低くなった。
その一方、「ウェブ上での面接を受けた」学生は56.9%で、前年から49.3ポイントの上昇。新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出されたこともあり、面接の設定がオンラインにシフトした。
ウェブ上での実施を合わせれば、面接はそれなりに終わっているといえるが、内定率が50%を割ったのは、ウェブでの面接が決定力に欠けるからのようだ。リクルートキャリアに寄せられた企業の人事担当者の話によると、オンラインのみの選考で内定まで出すことが難しく、思うように内定出しができないのが現状という。
一方、学生からは「企業の今後の選考予定がわからず、不安」との声が強く、同社は、企業は現時点で止まっている採用選考がいつ再開するのかなど、今後の具体的な予定をタイムリーに情報提供することが望ましいと指摘している。
なお調査は、「リクナビ2021」にモニター登録した学生4199人(大学生3326人、大学院生873)を対象に、5月1~7日に実施した。
ホテル・ブライダル打撃でパティシエ採用停止、見直し相次ぐ
こんな調査もあった。例年6月以降に本格化する製菓専門学生の就職活動は、新規採用の停止、企業説明会中止、選考の見直しなどの発表が相次ぐなどして就活生は準備をしようにも身動きがとれないでいることがわかった。
製菓業界に特化した就職・転職サイト、PATISSIENT(パティシエント)を運営するドリームラボ(大阪市)は、サイトに情報を掲載している洋菓子事業を行う企業381社のうち、50.4%と半数以上が採用には慎重な姿勢だった。
「例年どおり」と答えた企業は、採用枠が1~2人にとどまる郊外型のパティスリーが多かったという。
政府の緊急事態宣言の解除に光が見え始めたものの、大きな打撃を受けたホテルやブライダル事業を中心に、パティシエの新規採用数は激減の様相。ドリームラボが5月3~8日にかけて全国の専門学校51校に電話での聞き取り調査を行ったところ、41校が休校中。学生対応ができないうえ、就職指導については92.2%の学校が例年のようにはできていないと答えた。
こうしたことから、同社では就活を盛り立てるためのプロジェクトの第1弾として、21年新卒の求人情報の掲載を無料化すると、5月13日に発表した。学生に、より幅広い選択肢を提供できるようにしたいとしている。