「男性トイレの掃除」「上司のコーヒーに砂糖」はパワハラか
――投稿者の中には「男性トイレまで掃除させる」「女性社員に上司の長のコーヒーに砂糖のスティックを入れさせる」といった行為があります。こういった行為はパワハラ、セクハラなどに該当しないでしょうか。
川上さん「職場内で強い立場にあることを背景に、不当な圧力をかけられていると受け手側が感じていたら、パワハラやセクハラに該当する可能性はあると思います。最近は聞かなくなりましたが、お茶出しやコピー取りなどを"女の子の仕事"とか"女の子にやらせよう"と言っていた男性社員がかつてはたくさんいました。今も通用すると考えていたら、時代感覚から大きくずれていると思います」
――投稿者の中には勇気を出して声をあげ、こうした習慣をストップさせた人もいますね。雑務にストレスを感じ、なんとかしたいと思っている女性に、川上さんならどうアドバイスをしますか。
川上さん「習慣を変えるためには、事実を積み重ねることが必要です。『名もなき雑務』を男性が行うシーンが日常の中に増えれば、習慣は変わっていくと思います。ただ、そのきっかけ作りのしやすさは、職場の風土によってかなり差があるでしょう。なかには、女性社員が毎朝男性社員にお茶出ししたりする風土を良いことだと考えている人もいます。それが組織のトップや管理職の考え方として浸透している環境であれば、意見を言うのは相当勇気がいります。
そんな環境の中で個人の意見をぶつけると、風土を乱す存在と見られてしまう懸念もあります。意見を通す際には、同じ立場に置かれている人同士で話し合い、しっかりと合意した上で、皆の総意として伝えるのも一つの方法だと思います。また伝える際には、ただ権利主張しているだけだと受け取られてしまわないよう、組織の生産性やより良い組織風土づくりなど、会社にとってのメリット、経済効果といった観点から根拠を説明することをお勧めします」
――本来は、経営者や職場のリーダーが考えなくてはならない問題ですよね。
川上さん「そのとおりです。組織風土の問題は、社員からは指摘しづらいものです。良かれと思って進言しても、組織風土を乱す不良分子と受け取られてしまっては、意見を言う気持ちも失せてしまいます。本音を言い出せないまま、退職してしまう社員が出てしまう可能性もあります。経営者や職場のリーダーは、意見を伝えやすい風通しの良さに日頃から心を配っていただきたいと思います」
(福田和郎)