お茶出し、電話取り、おみやげ配り... 職場の「名もなき雑務」をなぜ女性がやらなければいけないの? ネットで大反響! 専門家に聞いた

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会社風土の中に「家庭」があり「女性社員=主婦」感覚が

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、職場で女性が担わされることが多い「名もなき雑務」について意見を求めた。

   ――今回の「名もなき雑務」投稿騒ぎを読んで、率直にどんな感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「未だ、日本中の会社で見られるワンシーンであり、矛盾の一つだと感じました。その多くは、雑務は女性に任せるべきもの、女性のほうが向いている、という根拠のないアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)にもとづくものではないかと思います。
一方で中には、上手にできる人をキャスティングしたら、結果として女性に偏ったケースもあると思います。たとえば、顧客からいただいたケーキを取り分ける時、日頃の仕事ぶりから、上手に手早く対応できると判断した人に依頼した結果、女性であることが多かったという具合です。しかし現実としては、何らかのアンコンシャス・バイアスが働いているケースのほうが多いように感じます」

   ――これまで、「名もなき雑務」に関する実態や、女性の意識を調査したことはありますか。

川上さん「直接、雑務にフォーカスした調査ではありませんが、以前、働く主婦層に対して『職場の同僚との花見』に関する調査をした時に、興味深い結果が出ました。職場の同僚と花見をしたいと思わない人が6割を超えていたのです。男性ならば、もっと多くの人が同僚と花見をしたいと思うかもしれません。
女性たちが同僚と花見をしたくない理由として、『準備、片付けに手間がかかる』『気を使う』『場所取りが大変』といった声がありました。これらは『名もなき雑務』の一種だと思います。本来であればくつろぐための場であるはずのお花見も、『名もなき雑務』が女性に偏りがちになるため、花見を遠慮したいという気持ちになる人が多くなるのではないでしょうか」

   ――なるほど。確かに後片付けのことが気になっていては、花見を心の底から楽しめませんよね。こうした女性だけが担わされる「雑務」が非常に多いということは、日本の企業風土の中に、会社の中にも「家庭」が存在し、「主婦=家事」と同様に、「女性社員=雑務」という性的役割分担が浸透しているということなのでしょうか。

川上さん「そういう面があることを否定はできないように思います。かつては『寿退社』という言葉がありました。女性社員は男性社員のお嫁さん候補として入社する、という見方が一般的でした。そんな環境では、『名もなき雑務』を家事に見立てて、職場内を疑似家庭のように捉える雰囲気もあったのではないでしょうか。
今の感覚からすると差別ですが、当時は差別という感覚よりも、習わしとして多くの人に受け入れられていたのだと思います。しかし、時代は変わり、今の価値観には馴染まなくなってきています」
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