【どこゆく子育て】15歳未満、総人口の12%まで減少 「先進国と同水準でよかった」では済まされない現実(鷲尾香一)

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   15歳未満の子どもの数が1982年から39年連続で減少し、過去最少を更新。総人口に占める子どもの割合も1975年から46年連続で低下して過去最低となった。

   総務省が2020年5月4日に発表した4月1日現在の15歳未満の子どもの数(推計)は、前年比で20万人減少の1512万人(男子774万人、女子738万人)となった。

  • 子どもがどんどん減っていく……(写真はイメージ)
    子どもがどんどん減っていく……(写真はイメージ)
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もう何度聞いただろう「過去最低を更新」

   15歳未満の子どもの数を年齢階層別にみると、以下のとおりになる。

   年齢階層  人 数   総人口に占める割合
12~14歳 321万人     2.6%
9~11歳 318万人     2.5%
6~8歳  304万人     2.4%
3~5歳  293万人     2.3%
0~2歳  275万人     2.2%
(2020年4月1日現在)

   厚生労働省の2019年の人口動態統計の年間推計で、国内出生数は86万4000人と、1899年の統計開始以来、初めて90万人を下回っており、継続的な出生数の減少が15歳未満の子どもの数の減少に大きく影響している。

   子どもの出生数は、1974年には200万人を超えていたが、毎年約10万人ずつ減少しており、2005年からは減少のペースこそ緩やかになったものの、その後も減少の一途を辿り、16年には100万人を割り込んでいる。

   19年10月1日現在の都道府県別の子どもの数では、前年比で増加しているのは東京都のみで、他の46道府県はすべて減少している。さらに、子どもの数が100万人を超えているのは、東京都、神奈川県、大阪府の3都府県のみとなっている。

   子どもの数が多い都府県(千人)  子どもの数が少ない県(千人)
東京都  1553            鳥取県 70
神奈川県 1099            高知県 77
大阪府  1043           徳島県 81
愛知県   991           島根県 83
埼玉県   881            秋田県 95
千葉県   739            山梨県 95

   子どもの割合が高い県(%)    子どもの割合が低い道県(%)
沖縄県  16.9            秋田県  9.8
滋賀県  13.8            青森県 10.7
佐賀県  13.5            北海道 10.8
熊本県  13.3            岩手県 11.1
宮崎県  13.3            高知県 11.1
鹿児島県 13.3
(2019年10月1日現在)

   子どもの数の多さは大都市圏が上位になっており、少なさは人口数の少ない県が上位になっている一方、子どもの割合が高い県については大きな特徴は見られないが、子どもの割合が低い県は高齢化率が高く、人口減少が進んでいる県が多い。

重要なことは間断なく手を打つこと

   子どもの数の減少は、日本の少子高齢化の進展によるものだが、10年ごとの総人口に占める15歳未満と65歳以上の数と割合を見ると、以下のようになっている。

   年次  総人口(万人) 15歳未満の人口(万人)  65歳以上の人口(万人)
        (総人口に占める割合)   (総人口に占める割合)
1950年   8320       2943(35.4%)       411 (4.9%)
1970年  1億372       2482(23.9%)       733 (7.1%)
1980年 1億1706       2752(23.5%)       1065 (9.1%)
1990年 1億2361       2254(18.2%)       1493(12.1%)
2000年 1億2693       1851(14.6%)       2204(17.4%)
2010年 1億2806       1684(13.1%)      2948(23.0%)
2020年 1億2596       1512(12.0%)       3605(28.6%)

   1960年代半ばには15歳未満の割合は30%を割り込み、1980年代半ばには65歳以上の割合が10%に上昇。1990年には15歳未満の割合が20%を割り込み、2000年代半ばには65歳以上の割合が20%を超えた。このように、子どもの割合と高齢者の割合には相関関係が見られる。

   「12.0%」という日本の15歳未満の人口に占める割合は、世界的に見てもかなり低い水準だが、総じて先進国を中心に少子高齢化は進んでおり、たとえば隣国の韓国の割合は12.4%、イタリアは13.4%、ドイツは13.5%にとどまる一方で、タンザニアは43.7%、ナイジェリアは41.8%と開発途上国では高い割合を示している。

   この数字を見て、「先進国だから仕方ない」「他の先進国と同じ程度のレベルでよかった」などと楽観視してはいけない。10年後には、さらに約200万人が減っている可能性がある。そう考えると、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、先行して学校を休業した判断は「子どもの命を守る」という点ではよかったのかもしれない。

   とはいえ、総人口に占める15歳未満の割合が10%を割り込まないようにするためにも、間断なく少子化対策の拡充を図っていくことが重要だ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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