「アベノマスク」は、もう手元に届いただろうか? 新型コロナウイルスの感染拡大で不足状態が続いていたマスクが、ようやく市場に出回ってきた。値段も下がりはじめた。
ひと足先に「終息宣言」があった中国から、有償・無償を問わず国内に供給されたはじめたことや、シャープやパナソニックなどの家電メーカーや繊維・アパレルなど日ごろはマスクとは無縁と思われる会社が相次いでマスクの生産に注力したり、家庭でマスクを作ったりしていることが、背景ある。
とはいえ、コロナが沈静化するまで、しばらくは「必需品」だ。オシャレなデザインをあしらったり、機能性を高めたりしたマスクが増えてきた。
)聴覚障害者に便利な「透明マスク」
新型コロナウイルスの感染拡大予防でマスクの着用が一般化したものの、口元が見えずに頭を悩ませていたのが、聴覚障害者や手話通訳者らだ。マスクで口の動きや表情が隠されてしまうため、コミュニケーションの妨げになった。
そこで注目が集まったのは、口元のカバーにプラチック素材を使った「透明マスク」。株式会社ウィンカムは、プラスチックの一種、ポリカーボネート製透明フィルムを使った透明マスク製品「マスクリア エコノ」を製造、販売している、専門の会社だ。
手話通訳者らがコロナ対応に苦慮していることを知り、仕事に役立ててもらおうと、8000個を全日本ろうあ連盟に、2020年5月11日に寄付した。
安倍晋三首相をはじめとする政府関係者や、都道府県知事らの会見が増え、手話通訳者らの出番も合わせて増えている。ウィンカムでは「手話通訳者がマスクを着用せず公の場に出ている状況」をみて決めた。
「マスクリア エコノ」は、従来の不織布のマスクのように顔を隠すことなく、唾液の飛沫を防ぐ。使い捨てではなく、洗浄や拭き取りによって繰り返し使えることができる。特許(特許第5096632号、特許第5174984号。2012年登録)も取得している。
用途や目的別に4種類。一般用である「マスクリア エコノ」は10個1セットで希望小売価格5400円(税別)。種類によっては、3月の受注は例年の3倍にものぼったという。
食品販売や飲食店のほか、学校や幼稚園、工場などコミュニケーションが重視される職場などでニーズが高い。ウィンカムはこの商品を、新型コロナの感染拡大前(2020年2月)に開催された国際見本市に出展。そのときから、コロナ予防として注目を集めていた。
ムシムシする暑さに、スポーツ用に......
新型コロナウイルスは、これまでのインフルエンザウイルスと異なり、夏の高温・多湿の中でも減退しないとみられている。そうなると蒸し暑くなる、これからの季節もマスクを着けて過ごさないとならない。すでに通販サイトの一部には、「冷感」や「クール」をうたう製品が登場している。
そうしたなか、ウェブサイトの企画からグッズ販売など幅広い事業を手がける株式会社 KTG creation(ケイティージークリエイション)が5月11日に発売したのは、高通気性ランニングマスク「mamoRUNto(マモラント)」。ポリエステルを主に、空気を通しながら飛沫を防ぐ極薄素材で、医療向け製品を製造する工場と共同開発した。
通気性が高いので息苦しさが軽減され、暑さで蒸れるの防ぎ、一方で飛沫飛散が防止できるので、ランニングなどスポーツを楽しみたい人に向いているという。洗濯しても制菌、防菌、防臭効果が減退しない素材は、吸汗性、速乾性があり、繰り返し洗って使える。価格は990円(税別)。自社の通販サイトで購入できる。