新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の株式市場が大きく動揺してから2か月が経過しました。足元の株価は2020年2月中旬以降の急落から少し値を戻し、上下しつつも落ち着いた動きとなっています。
新型コロナウイルスが猛威を振るった欧米で、経済活動が一部再開に向かいつつあるものの、依然として事態の収束には時間がかかるとみられています。株式市場はしばらく不安定な値動きが続くと想定されます。
こうしたなか、投資家の中には「やっぱり、投資は控えておこう」と、静観する人がいます。その一方で、2月の急落をキッカケに「大きく下落した今がチャンス」とばかり、資産運用をスタートされる人もいるようです。
資産運用の「エンジン役」となる株式ファンドの選び方には、「3つのタイプ」があります。
インデックス型VSアクティブ型、そして注目のコンセプト型
(1)インデックス型
株式ファンドには、大きく2種類のカテゴリーがあります。ひとつは「インデックス型」と呼ばれるカテゴリーです。たとえば日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、一般に公表される株価指数と同じように値動きするように運用を行なうタイプのことです。
日経平均株価が1%上がった日はファンドも1%上がり、下がった日も同じだけ下がるように作られています。
(2)アクティブ型
もう一つは「アクティブ型」と呼ばれるカテゴリーです。アクティブ型は、目標とする指数(ベンチマーク)を上回る運用成果を目指します。「アクティブ」だからといって、積極的に売買を行なうという意味ではなく、なんらかの指数を意識しながら、違いを出そうと工夫するタイプのことです。
たとえば8割程度をTOPIXなどの指数と共通にしながら、2割の範囲で良いと思う企業を指数の構成比率よりも多めに買ったり、悪いと思う企業の指数を少なくしたりするというイメージです。 アクティブ型は、銘柄調査費用や株式売買費用などがかかるため、インデックス型に比べるとコストが高くなる傾向があります。
(3)コンセプト型
株式ファンドの選択では、しばしば「インデックス vs アクティブ」の議論が出てくることがありますが、最近、筆者はこの2軸だけではなく、違う次元のカテゴリーが必要ではないかと考えています。
それは「コンセプト型」とでもいうべきカテゴリーです。日興アセットマネジメントは資産運用の「エンジン役」となる株式ファンドに、「インデックス型 vs アクティブ型」の2軸ではなく、第3軸の「コンセプト型」がある――という整理をオススメしています。
「第3軸」のコンセプト型とは何なのか?
では、コンセプト型とは、なんなのか――。たとえば、ファンド名に「グローバル・ロボ」や「グローバル・フィンテック」といった名前のファンドは世の中に何本かあり、昔ながらの分類ではアクティブ型に分類されています。しかし、それらのファンドは世界株式指数(インデックス)のことを、おそらく少しも意識なんてしていないでしょう。なぜなら、「世界のロボ企業」や「世界のフィンテック企業」というコンセプトで縛っているファンドだからです。
そのファンドが銘柄を選ぶコンセプトや、そのコンセプトが想定する時間軸に共感できれば、たとえ短期的な相場変動があったとしても右往左往することなく、じっくりと長期保有できるのではないかと考えています。
コンセプト型のひとつに、「メガトレンド株式」があります。日興アセットマネジメントは、世の中を変えるイノベーション(変革)のコンセプトのことを「メガトレンド(巨大な潮流)」と呼んでいます。
新型コロナウイルスの感染拡大が私たちに与えた影響は非常に大きく、今後の社会のあり方や価値観さえも変えてしまうのではないかとの見方があるほどです。
そうしたなか、ロボやフィンテックのような「メガトレンド」を引っ張るような企業は、革新的な製品やサービスを提供することで、今後も市場のシェアを拡大することが期待されます。
もともと人手不足から進んでいた工場の自動化投資が、新型コロナを機に加速する可能性があります。また、現金から感染リスクを敬遠する動きなどから、キャッシュレスによる決済が今後ますます進み、それが後戻りすることはないとみています。
もちろん、短期的には市場が不安定な動きとなることも想定され、値動きも大きくなる可能性も考えられます。しかし、投資信託に投資する人には、近視眼的にならず、長期的な成長が期待できるコンセプト型の株式ファンドを、資産運用の新たなエンジン役となる「第3軸」として押さえてほしいと考えています。(日興アセットマネジメント マーケティング部 山口亮二)