【ステイホームは本を読む!】健康にいいと人気の「オメガ3」オイル 「妊活にもいいかも」ってホント?(尾藤克之)

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   血液がサラサラになる。中性脂肪を抑え、痩せられる! と、いま大注目なのが「オメガ3」オイル。主にサバなどの青魚から摂取できるため、サバ缶はいま品薄状態の大ブームです。

   そんなオメガ3オイルの、さらなる効能が明らかになりました。

   著者の大塚聡子さんは、オメガオイル料理研究家として、一人でも多くの方の「健康寿命を延ばす」ことを志し、活動中です。監修は、守口徹さん。麻布大学生命・環境科学部教授で、オメガ脂肪酸の有用性を広めるべく、20年以上にわたって研究する第一人者です。

「最強の妊活!」(オメガさと子/大塚聡子著)小学館

油の「常識」は20年前から激変

   かつて、油は「控えるべき食品」カテゴリーのトップでした。20年前のガイダンスでも、そのトップにすべての油がまとめて入っていました。

   ところが、現在では「油は単なるエネルギー源というだけでなく、身体の構造や機能に必要な栄養素であり、種類を選び、良質なものを積極的に取る」ことが、新常識になりつつあります。

   油は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。飽和脂肪酸は「脂」のことです。不飽和脂肪酸は植物油や魚介類に含まれる油で、エネルギー源や細胞膜の材料となり、体内にたまりにくいのが特徴で、これを総称して「オメガオイル」といいます。

   さらに、オメガオイルは3タイプに分かれます。

・DHA、EPA、α-リノレン酸を多く含む → オメガ3オイル
・リノール酸を多く含む → オメガ6オイル、
・オレイン酸を多く含む → オメガ9オイル。

   オメガ6オイルを過剰摂取すると、アトピーや花粉症などのアレルギーを誘発するほか、がんや心疾患のリスクを高めるという報告もあり、摂りすぎには注意です。外食や加工食品、コンビ二食品、お菓子の多くにオメガ6オイルが使用されています。

   製造過程で高熱処理を施されるサラダ油や、何度も使い回す揚げ油には、トランス脂肪酸が含まれています。コンビニのおにぎりにも、「植物性油脂」と表示されたサラダ油などの安価な油が使われています。オメガ6の油を摂りすぎは危険だと、大塚さんは警鐘を鳴らします。

不妊治療・不妊検査の実態

   摂り入れるべきは「3のオメガオイル」であると、大塚さんは解説します。

   魚の油(EPA、DHA)をはじめ、エゴマ油、亜麻仁油、サチャインチオイル、チアシードオイルなどがあります。EPAやDHAはサバやイワシなどの青魚、マグロなどに多く含まれています。

   日本では、トランス脂肪酸などの害について報道されることはありません。世界保健機関(WHO)が世界から根絶しようとしているのに、とても不思議です。本書では、オメガ3オイルがもたらす効果や、正しい実践方法についてわかりやすく解説しています。

   国立社会保障?人口問題研究所の調査によると、日本のカップルは、「6組に1組は何らかの不妊治療をしたことがある」という調査結果が残されています。さらに2017年は、出生数94万6065人、合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)は1.43人です。

   大塚さんは、

「この出生率の低さは、晩婚化・晩産化が背景にあるといわれていますが、さらに突き詰めると『妊娠するための母体が弱くなってきている』という事実がわかってきました。医療技術の進化による新生児の生存率自体は上がっているものの、母体が弱くなっているのです」

と指摘します。

   妊活を取り巻く実態が明らかになってきました。本書では、オメガ3オイルがもたらす妊活への効果、正しい実践方法を、マンガとイラストでわかりやすく解説しています。

   「オメガ3オイル」の摂取量が、妊娠率、出産率に影響を及ぼすことを解説した興味深い一冊です。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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