60のシチュエーションで学ぶ
日本語との感覚的な比較で、英語を簡単視していることの弊害といえるものの一つは、「人に依頼するとき文頭にplease(プリーズ)をつければ、どんな場合でも丁寧になると思い込んでいる日本人が多いこと」。
たとえば、日本で米国人などの英語を話す訪問客を迎え、靴を脱ぐよう求めるとき。失礼がないようにと発する言葉は「Please take off your shoes(靴を脱いで)」のようになるのではなかろうか。 しかし、これだと英語的には「不躾」に聞こえるそうだ。学校で習う英語レベルで「品格」ある言い方なら、
「Would you mind taking off your shoes?」
(靴を脱いでいただけませんか)
などが考えられる。
本書では、7章に分けて「挨拶や決まり文句」、「会話術、ディスカッション術」、「言いにくいことを伝える(断り、反論、クレーム)」、「交渉(価格交渉、無理なお願い)」などの場面に分け、計60のシチュエーションで、この「靴」の事例のような、「品格」ある言い方を解説する。 それぞれについて、NG例から、品格レベル初級、中級、上級と4つの例文が添えられている。グローバル化が進むビジネスの中で、成功に導く「繊細で、丁寧な」英語が身に付く一冊といえる。
著者のロッシェル・カップさんは、米国ニューヨーク州生まれでシカゴ大学経営大学院修了(MBA)。コンサルティング会社社長であり、北九州市立大学教授を務める。文化コミュニケーション、人事管理、リーダーシップと組織開発を専門とする経営コンサルタント。
共著者の大野和基さんは国際ジャーナリスト。東京外国語大学英米語学科卒業後の1979年に渡米し、コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ。国際情勢や医療問題について精力的にリポート。世界の要人への単独インタビューを数多く成功させている。
「英語の品格 実践編」
ロッシェル・カップ、大野和基著
アルク
税別2000円