若者に未来を! 政府のコロナ対策は「やりすぎ」 病気に勝って「経済で死ぬ」つもりなのか?(小田切尚登)

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「隔離」は短期的な効果しかない

   新型コロナウイルスについては、これまでにかなりのことがわかってきた。致死率は1%よりもだいぶ低く、おそらくインフルエンザ並みであると考えられること、重症者は高齢者と高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある人に集中していて、若くて健康な人に対するリスクは非常に低いこと、今までに判明したのよりもはるかに多くの人が感染していると見られること、などだ。

   病気に打ち勝つことに異論などない。しかし、我々は未来に向かって生きていかねばならない。未来の人たちが、幸せに平和に豊かな生活をしていける環境をつくることが、年長者の責務だ。「若者の未来が、台なしになるようなことがあってはいけない」「子どもが十分な教育を受けられなくなるような状況だけは、絶対に避けてほしい」...... というのが、我々の世代が一致して望むところだと考えている。

   それを前提にすると、今後とるべき対策もおのずと見えてくる。基本的には、日本のようにコロナによる被害が非常に少なく抑えられている国では、活動の制限は最小限にとどめるべきだ。

   特に若い人にとってはコロナはインフルエンザよりもずっとリスクが小さいと見られるので、できるだけ普通に活動してもらい、学校は開校する。一方でリスクの高い高齢者や免疫力の弱い人には感染リスクを下げるような行動が望まれるが、やりすぎるとマイナスが大きくなるので、スウェーデンで行っているような緩い管理を参考に進めていくべきだと思う。

   繰り返すが、隔離は基本的に短期的な効果しかなく、最終的な感染者数・死亡者数を大きく減少させるものではない。このことを肝に銘じておく必要がある。

   今は「コロナ疲れ」が世界中を覆っている。そのため、イタリアやドイツやフランスのような深刻の事態に直面している国でさえ、徐々に規制を緩和していくことを発表している。その一方で、コロナの死亡者が遥かに少なく、4月中旬から患者数が低下してきている日本では、欧米以上の規制を続けていこうとしている。

   リーマン・ショックの時、日本は米国のサブプライム問題にもデリバティブにも深く関与しなかったため、直接的なダメージは小さかった。しかし、2次的なダメージを大きく受けてしまい、結局は甚大な被害を受けるに至った。

   新型コロナウイルスについても、せっかく直接的な被害は小さいのに、経済でこけてしまっては元も子もない。若い世代が明るい将来を築けることを最重要課題として政策を決定していってもらいたい。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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