海外は中止を希望? IOC幹部の「五輪開催論」に非難が殺到!
驚くことに、これまでの報道を見る限り、森会長の「再延期ではなく中止」発言や、安倍首相の「来年の開催は不可能」発言への反発はまったく感じられません。むしろ、「not come as a shock」(驚きではない)と、肯定的に受け取られている感があります。
背景には、新型コロナウイルス対策やワクチン開発への認識の違いがあるようです。日本以上に感染が爆発的に広がり、すでに多くの犠牲者を出している諸外国では、「コロナは簡単には収束しない」「ワクチンの開発には数年かかる」といった厳しい見立てが主流です。
その前提に立つと、「来年までにコロナが収束して薬やワクチンが開発されているはずがない」ので、安倍首相の発言は「常識的な判断」だと捉えられているのでしょう。ご本人の意図とは別に......。
逆に、強気の発言で墓穴を掘ってしまったのがIOC(国際オリンピック委員会)です。ジワジワと広がる「中止論」をあわてて打ち消そうとするかのように、東京大会調整委員長のジョン・コーツ氏が「東京五輪の開催は、新型コロナウイルスのワクチン開発に依存しない」、「WHO(世界保健機関)から助言を受けて予定どおり準備を進めている」と発言したことが、「Is he kidding?」(冗談でしょ?)、「incredibly arrogant and egocentric」(めちゃくちゃ高慢で自分勝手だ)と、強く非難されてしまったのです。
各国の専門家やスポーツ関係者のあいだでも、開催においてワクチンの開発と普及を前提とする意見が広がっています。これまでも、東京五輪の開催をめぐるIOCの対応は「tone deaf」(音痴、空気が読めない)とさんざん避難されてきましたが、今回のコーツ氏の発言は「民意とかけ離れている」印象をさらに強めて、不信感をあおってしまったようです。
知らないうちに盛り上がっていた「東京五輪中止論」。
今のところ、海外メディアでの「悪役」はIOCが一手に引き受けているようで、日本政府が「五輪中止」を宣言しても非難されることはなさそうです。
安倍首相、今が「ご決断」のタイミングではないでしょうか?
◆ 新型コロナウイルス注目ワードVol.9 「vaccine」(ワクチン)
新型コロナウイルスの感染が世界中に広がるなか、ワクチン開発をめぐる競争が激化しています。
The University of Oxford racing to find a coronavirus vaccine
(オックスフォード大学はコロナウイルスのワクチン開発を競っている)
それもそのはず。これだけの感染者がいるのですから、最初にワクチンを開発した会社(及び大学)は膨大な利益を得ることになるでしょう。
実際、「○○社のワクチンの有効性が確認された!」という一報で、その会社の株価が急騰する現象が各国で起きているほどです。
「vaccine」(ワクチン)は、「ヴァクシィーン」と「シ」を強調して発音します。日本語の「ワクチン」とはずいぶん発音が異なるので、意識して覚えましょう。
恥ずかしながら私も、TOEICのリスニングテストで出題された時は、「あれっ?ヴァクシィーンって何だっけ?」と、パニックになった経験があります。(井津川倫子)