休業要請を出したのに従わないパチンコ店の存在が各地で問題になっている。神奈川県、兵庫県、愛知県などでは新型コロナウイルス特措法に基づき、店名を公表したが、逆に客が押しかける騒ぎになり、完全に裏目に出た形だ。
一方、大阪府では2020年4月30日、ようやく吉村洋文知事が「休業しなかった7店舗すべてが休業に応じてくれた」と発表。東京都でも全店が休業に応じた。しかし、千葉県や茨城県などで応じていない店が多くある。
こんななか、西村康稔経済再生担当相は4月27日の記者会見で、こうした店に対し、特措法を改正して罰則を設ける考えがあることを明らかにした。ネット上では、
「悪目立ちのパチンコ店をスケープゴートにした憲法違反行為」
という批判と、
「クラスターを防ぐには当然の措置だ」
という賛成とで大激論が起こっている。
「1日に数百万円の売り上げ。200万円の補償など雀の涙」
共同通信(2020年4月27日付オンライン)は「休業しないパチンコ店に罰則も 政府、特措法改正を示唆」で、こう伝えている。
「西村経済再生担当相は、自治体がパチンコ店などに特措法に基づく休業指示を出しても従わない事例が多発するようであれば、『罰則を伴う、より強い強制力のある仕組みの導入について検討せざるを得なくなる』と強調した。現在も営業を続けるパチンコ店などをけん制する発言だが、私権の強い制約を伴う事実上の休業強制を示唆するもので、物議を醸しそうだ」
一方、西日本新聞(4月29日付オンライン版)「休業に応じぬパチンコ店 経営者『店名公表は乱暴すぎる』」は福岡県の要請を拒否して営業を続けているパチンコ店主の言い分を伝えている。
営業を続ける福岡県内のパチンコ店の男性店主(44)が28日、西日本新聞の取材に応じた。福岡県は29日に要請に従わない店名を公表する方針だが、店主は、
「やり方が乱暴すぎる。社会全体が『パチンコ店を悪』とする風潮に恐怖を感じる」
と訴えた。
感染防止策としてパチンコ台を半分にし、使用済みの台の殺菌作業や店内の換気を徹底。従業員と客にマスク着用を義務づけ、マスクを持っていない客には無料配布している。店主は西日本新聞の記者に、
「お客さんは台と向き合うため、飛沫感染のリスクは低い。『3密』を避けるためにできる限りの対策はしている」
と語った。
1日の売り上げは数百万円。売り上げが減少した中小企業に国は最大200万円、県も最大50万円の給付金を支給する方針だが、店主は、
「そんな金額では雀の涙にしかならない。従業員19人の雇用と景品納入業者などの取引先を守るためには営業を続けるしかない。県の休業要請は、必要以上に行動を制限することになり、人権侵害に当たる。憲法違反だ」
と主張するのだった。