「1万円からはじめる為替バトル FX大学対抗戦」はSeason4に突入。今シーズンは、早稲田大学、明治大学、慶応義塾大学。新たに、専修大学が参戦した。
その第1週(2020年4月20日週)から、異変が......。相場の焦点となったのが、原油価格。マイナス圏に突入したのは、予想外の出来事だったはずだ。「原油は取引期限が来れば、現物を受け取らないといけないのですが、世界的な自粛ムードで原油の需要が減少したため、貯蔵タンクに空きがなく買い手はマイナス価格でも決済するしかなかったためです」と、FX大学対抗戦を監修、アドバイスする児山将氏。
つまり、原油の買い手は原油ももらえ、お金ももらえるという状況。児山氏は「ただし、貯蔵タンクがないため、買い手も皆無という極端な状況だからこそ起こり得ました。来月にも同様の動きが見られる可能性はあり、記憶にとどめておく必要があるでしょう」と話す。
こんな荒れも模様の外国為替相場に、4大学がどう挑んだのか――。
はじめの1歩は慎重に!(早稲田大学)
FX初心者の自分だが、今回の大学対抗戦に臨むにあたっての戦略を、まず簡単に綴っておく。
期間が半年かつ1万円での取引なので、スワップ(金利差相当額)での利益は追わない。つまり、超短期取引を繰り返すつもりだ。FXがよくギャンブルだと言われている理由は、株価などに比べて変動要因が多すぎるからだと思う。よって長期的利益を見込むことは、初心者である自分には厳しいと判断し、このような作戦をとることにした。
また、現在は数年に一度訪れるような読みにくい相場であるため、4、5月はかなり慎重に分析し、慣れるための期間としたい。
今週の成果だが、結論から言うと取引はしなかった。よって資産は1万円のままだ。「慎重に検討したいと」いうのが最大の理由だが、そのほかに様子を見ていた通貨があり、その通貨の動きが自分の予想と違う動きをしたため、ポジションを持たなかった。その通貨とはトルコリラと日本円のペアである。
トルコリラに注目した理由は、2018年8月のトルコリラ・ショック以降の政策金利の発表と相場の関連性が見えやすかったからである。トルコ中央銀行はかなり頻繁に政策金利を発表しており、その結果、これまでは利率が上がれば価値が上がり、利率が下がれば価値が下がるという、非常にわかりやすい相場であった。
そして、次回のトルコ政策金利が発表される予定日は5月21日なので、その日に合わせていろいろ分析し、取引しようと思ったのだ。
しかし政策金利とは関係ないところで自分の想定外のことが起こった。それは2018年8月に起きたトルコリラ・ショックによる史上最安値、1000トルコリラ=1万5305円を更新してしまったことである。自分の予想としてはテクニカル的に15.4円あたりで反発すると思っていたが、やはり新型コロナウイルスがトルコでも日々拡大しているので、そうはいかなかった。
トルコリラはもう少し様子を見て勝負をしたいので、来週からは少しずつ他のメジャー通貨ペアを観察したいと思う。
◆ 児山将のワンポイント・アドバイス!
原油先物価格がマイナス圏に突入するという歴史的な相場の中で、リスクを取らずに自身の得意とする通貨ペアを選定することころからスタートしたことを評価。投資対象は人それぞれ取引スタイルや相性によって異なるため、まずは通貨ペアを定めるタイミングが来た時に投資を始めることが良いでしょう。
ウォッチしているトルコリラは、日本人FX投資家の多くがスワップポイント狙いで買い持ちしている通貨ペア。FX会社の建玉情報などを参考にしてみるのも良いでしょう。
もう一つ、今週起きた大きな出来事は4月20日の米ニューヨーク原油先物のマイナス価格形成である。取引期間中の安値は1バレル=マイナス40.32ドルで、原油先物市場の歴史上初のマイナス価格次元だったそうだ。これもまたコロナ禍による需給バランスの崩れが原因だが、自分は原油価格と通貨との連動性などの勉強が不十分であったのと、あまりにも一瞬の出来事であったため、この相場では何もすることができなかった。変動要因が多いFXだからこそこれから通貨のみでなく他の投資対象も勉強していこうと思った。
1万円からの損益 プラス・マイナスゼロ4月24日現在 1万円