サービス業は「ピープルビジネス」だ!
近年は、「ダメな人」の入れ替えではなくても、業容の拡大や多角化などで、中途採用が増え、それに伴い転職が一般的になっているが、中途採用を行うにしても、人財の育成を重視し、それにより人に選ばれる企業でなくては、人財を集めることはままならない。
人財の育成を重視していることは、どのような効果として表れ、アピールするのか――。著者の長く身を置いたサービス業を例に解説する。
サービス業は人が人をもてなす「ピープルビジネス」。高級レストランでも低価格のファストフードでも、雰囲気のいい清潔感ある店で良質な接客を受ければ、また来てみたいと思うに違いない。
そればかりか、知人や友人にその店のことを教えたり、今の時代ならSNSで発信してPRにひと役買ってくれたりする可能性も大いにある。
人財育成のなかで従業員が身につけた「良質な」接客が起点となって、利益が伸び事業が拡大していくことにつながっていく。人の力は「対顧客」にばかり発揮されるわけではない。良いチームワークが醸し出す雰囲気も重要で、店舗スタッフの人間性や人間関係が、それを支える。そのことで社会的な評価を得られれば、中途採用でも人財が集まりやすくなるだろう。
バブル経済終焉後の1990年代以降、外食チェーンの多くが衰退するなか、日本マクドナルドなど少数の企業が生き残り成長を続けたのは、著者によると「人の違い」によるところが大きかったという。
本書には、そのマクドナルドでの現場経験、ハンバーガー大学やユニクロ大学での豊富な教育・研修実績のほか、会社設立以来8年間で取り引きがあった約3000社の経営者、人事担当者からの声に基づいて、著者が築いた育成方法が収められている。
「全員を戦力にする人財育成術 離職を防ぎ、成長をうながす『仕組み』を作る」
有本均著
ダイヤモンド社
税別1500円