カギは「役員」! 実話に基づくから説得力がある
これが企業の安定を支える根本の文化。本書では、文化は文化でも「負の文化」であると指摘。「調整文化」によって、先進国として異常に低い生産性を招き、意思決定と実行にブレーキがかかり、また新たな試みが生まれてこない――というマイナス作用のメカニズムを解説。その「負の文化」をどうやって変えていけばいいかを、架空の東証1部上場企業「東洋精電」を舞台に描いている。
「調整文化」の構造を詳しくみたあと、それを打開するためのカギとして描いているのは「役員」という、意外な? 展開。「役員のチーム化」が現場の働き方を変え、変化対応力を育む「挑戦文化」の組織に変わるための重要な要素であることを明らかにする。「役員のチーム化」など、およそ現実的ではない感じだが、その手法は実話に基づいたものという。
東洋精電の社長は、縮小していく市場に会社存亡の将来不安を抱えている。しかし、役員たちは自分の担当部門で成果を出すことにしか関心がない。社長は役員たちに物足りなさを感じ、コンサルタントに「役員のチーム化」の支援を依頼する。「チーム化」した役員らは、社長の出身事業を閉じるというタブーに挑戦することで一丸となる......。
「なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の『経営チーム』」
柴田昌治著
日本経済新聞出版
税別1600円