期待を胸に意気揚々と新生活を始めたものの、新型コロナウイルスの影響で出鼻をくじかれ、すでに不安を募らせている新社会人も少なくないはず。研修もなんだか中途半端。「3密」回避で、同期生や先輩、上司らとのコミュニケーションもままならない。
そうなると、ここはセルフで補い、研修するしかない。テキストには、本書「入社1年目でマスターしないと恥をかく 仕事の基本見るだけノート」がよく合いそうだ。
「入社1年目でマスターしないと恥をかく 仕事の基本見るだけノート」(平野敦士カール監修)宝島社
「正社員」と「アルバイト」の違いから叩き込む
毎年、新年度を迎える前の3月ごろになると、新社会人を読者に想定してマナー本が書店に並び、雑誌では特集が組まれる。本書もその中の一冊だが、内容の幅広さは群を抜いている。
「プロローグ」で「社会人になったら何が変わる」から説き起こし、学生時代のアルバイトと正社員の違いをはっきりさせる。
何が違うのか?
「正社員は『余人をもって代えがたい存在』であるべき点」
「アルバイトはいずれ別の人に代わることが前提だが、正社員は継続的に会社や組織に貢献することが求められる」
この説明がすべてのアルバイトと正社員の違いについて、真であるかどうかはともかく、学生時代にアルバイトを経験した者にとっては納得できるのではなかろうか。
プロローグのあとは「身だしなみ」や「立ち居振る舞い」から「電話応対」「メール」「来客応対・訪問」と続き「人間関係」から「飲み会」にまで至る。自然とうなずいてしまう解説に加え、いずれもディテールにこだわったイラストつきでさらにわかりやすい。
エピローグでは「転職も一つの選択肢」として、円満退社のプロセスや退職願の書き方の解説で閉められる。本書のタイトルには「入社1年目でマスターしないと恥をかく」とあるが、会社勤めをしている間にわたり使えそうなマニュアルといえる。