なぜ今、年金改革法なの? コロナ禍のドサクサ紛れに安倍政権がやろうとしていること(鷲尾香一)

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これが実態!? 60歳定年で半減した給与を年金で補填

   加えて、今回の改正では年金を65歳より前倒しで受給する場合の減額率の見直しも行われる。年金は60歳から受け取りを開始することができるが、受給開始を1か月早めるごとに、65歳の基準額から0.5%減額されるため、最大で30%の減額となる。

   今回の改正では、減額幅が月0.4%に縮小され、最大の減額幅は24%となる。たとえば65歳からの受給額が年間100万円ならば、現状では70万円のところ、新たな基準では6万円増えて76万円になる。これは年金受給者にとって、大きなメリットかもしれない。

   だが、65歳前に年金受給を開始すると月0.4%年金額が減額され、その年金額が「一生続く」のに加え、障害者となった場合の「障害基礎年金」、夫が亡くなった場合に妻が受け取れる「寡婦年金」などの受給資格がなくなる。

   それでも65歳前に年金受給を開始する背景には、多くの企業は定年後65歳までは、給与を定年時の半額程度に減額しているため、「65歳以前に年金を受け取らないと、生活できない高齢者が多い」という現実があることを忘れてはならない。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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