追い込まれた中小店が「廃業前の最後の荒稼ぎ」
一方、休業要請に従わないパチンコ店が非常に多い大阪府の吉村洋文知事は、堪忍袋の緒が切れたようだ。ABCテレビ(2020年4月21日付オンライン版)「吉村大阪府知事が休業要請に応じない施設名公表へ」ではこう伝えている。
「吉村知事は休業要請に応じない事業者について、今週中にも名前の公表に踏み切る方針です。大阪府では、パチンコ店や風俗店などで営業が続けられているとの通報が500件以上寄せられています。吉村知事は施設に改めて休業を求め、それでも応じない場合には、休業するよう『指示』するとともに名前を公表するということです。吉村知事は『国は絶対だめだと言っている状況ではないので、最終的には知事の判断として進めていきたい』と話しました」
吉村知事は断固、公表に踏み切る構えなのだ。
ところで、どうしてパチンコ店はこの国難の今でも、「お上」の要請に応じようとしないのだろうか。そんなパチンコ業界の切羽詰まった裏事情を民間調査会社・東京商工リサーチのリポート「新型コロナが加速させる『パチンコホールの淘汰』」(2020年4月21日付)が、こう明かしている。
「パチンコホールの経営が厳しさを増している。4月15日、東京で3店舗のパチンコ店を展開していた『赤玉』が東京地裁に破産を申請した。赤字を散発し債務超過に陥っていた。そこに新型コロナの感染拡大で来店数が落ち込み、都の休業要請を受けて店舗休業していた」
パチンコホールは現在、全国で9000店舗あるが、3年後には7000店舗に減少するとの予測もある。今年4月から始まった受動喫煙の防止、さらに風営法改正による来年1月までの射幸性の低い遊技台への入れ替え問題。そして、新型コロナによる休業という追い打ちのトリプルパンチを食らって、店舗数の減少に拍車がかかるというのだ。
特に頭が痛いのが、遊技台の入れ替えだ。出玉をこれまでの3分の2に抑えなければならない。顧客は減るうえ店の利益も減少する。さらに機械の入れ替えには莫大な費用がかかる。
リポートが続ける。
「パチンコホールの幹部は、新型コロナで『2つの問題が浮き彫りになる』と語る。1つ目は、店舗数の減少が加速し、遅くとも来年1月までに淘汰が進むこと。2つ目は、パチンコホールに対するイメージが低下し、さらなる顧客離れを招くことだ。休業要請中でも営業を継続する店舗もある。モラルハザードか、生き残りをかけた必死さかわからない......」
大手が休業要請を受けている最中に、追い込まれた中小店が廃業前にできるだけ稼いでおこうと必死なのだ。