【襲来!新型コロナウイルス】広島県職員の10万円給付金をコロナ対策に召し上げる湯崎知事に怒りの声殺到!「究極のパワハラ」「カツアゲと同じだ」

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「究極のパワハラだ!」
「部下のカネを横取りするとは!」

   新型コロナウイルス対策として、全国民に一律に給付される現金10万円だが、広島県の湯崎英彦知事(54)が2020年4月21日、県独自の新型コロナ経済対策の財源に、県職員への現金給付を使うと表明したことがネット上で怒りを買っている。

「公務員バッシングに付け込んだ人気取りのパフォーマンスだ」

   こんな批判の声まであり、総スカン状態の湯崎英彦知事は、全国の知事の中でも稀にみる華麗な経歴の持ち主といわれるが、いったいどんな御仁なのか。また、何が批判されているのか、ネットの声を拾うと――。

  • 広島県の湯崎英彦知事(広島県庁ホームページより)
    広島県の湯崎英彦知事(広島県庁ホームページより)
  • 広島県の湯崎英彦知事(広島県庁ホームページより)

「公務員バッシングに付け込む人気取りパフォーマンス」

   中国新聞(2020年4月21日付オンライン版)「広島県の県職員の10万円でコロナ対策 広島知事、国給付の活用表明」が、こう伝えている。

「湯崎英彦知事は4月21日、県職員が国から受け取る現金10万円を、県の対策事業の財源に活用したい考えを表明した。自主的な寄付として募り、新たに設ける基金に積み立てる手法などを念頭に、仕組み作りを急ぐ。
湯崎知事の突然の発言は波紋を広げている。県職員連合労働組合の大瀬戸啓介中央執行委員長は『驚いている。新型コロナの感染防止で職員は懸命に働き、家庭状況もさまざまだ。一律の対応を求められるのかなどを注意深く見守る』と話した」

   県庁職員の労働組合にとっても寝耳に水だったわけだ。一応「自主的な寄付として募る」というが、湯崎知事は極めて個性が強いトップダウン型の知事だ。県庁職員の不安は大きい。

   中国新聞が続ける。

「湯崎知事は記者会見で、(休業要請をした業者への)協力金や他の対策に多額の費用がかかるとの見通しを説明。『必要な財源が圧倒的に足りない。捻出する時に、国から給付される10万円を活用することで、聖域なく検討したい』と強調した。県職員が受け取った10万円を積み立てる基金を新たに創設し、事業費に充てる方策かという問いには『そういうイメージだ』と応じた」

   広島県によると、県職員は4451人(4月1日時点)。全職員から10万円を集めると4億4500万円余りとなるという。

起業家出身の華麗な経歴、「育休知事」のハシリ

   湯崎知事とは、いったいどんな人物か――。

   広島県庁ホームページ内の「ようこそ知事室へ」コーナーの経歴を見ると、地元の名門、広島大学附属中・高校を経て東京大学法学部卒業後、通産省(現経済産業省)に入省。在省中に米スタンフォード大学に留学、経営学修士(MBA)を取得した。

   2000年に退官して高速・大容量通信サービスのIT企業「アッカ・ネットワークス」を設立。その後、経営コンサルティング会社も創業。2009年に広島県知事選に出馬、自民や民主など主要政党の支持を得て圧勝した。現在、3期目だ。

「私たちは広島県を愛し、誇りを持ちます」
「私たちは県民のために存在します」

   など、「5つの心得」を県庁職員に科す一方、企業経営者出身らしく、全国の知事としては初めて県庁職員管理職に年俸制を導入。徹底した成果主義を行なっている。また、2010年の第3子誕生の際は、全国の知事として初めて「育休」を取り、「イクメン知事」として全国的に有名になった。この時は、「知事の育休」をめぐり橋下徹大阪府知事(当時)から批判され、「橋下・湯崎育休論争」が話題になった。

   こんな知事の今回の「英断」だが、著名人の間でも「呆れた」という投稿が相次いでいる。脳科学者の茂木健一郎氏は21日、ツイッターを更新。

「絶句。県職員の方だって、生活者としての側面があり、知事といえどもこれは無理筋なのでは......」

   高須クリニックの高須克弥院長も、同日のツイッターに、

「職員本人の意志を無視して10万円横取りしてはいかん」

と綴った。

「泥棒と同じ。法律面で問題がある」

県職員に現金給付を召し上げるつもり(?)
県職員に現金給付を召し上げるつもり(?)

   ネット上でも猛批判の嵐で、賛成する意見が見当たらない状態だ。

   政治ジャーナリストの安積明子さんは、こう書いた。

「国から国民に支給されるお金を、知事が『強制搾取』できるのでしょうか。条例などの法的根拠が必要だと思います。仮に『任意』であっても、同調圧力があってはいけません。コロナ対策の現場は都道府県。全力で対策にあたる職員の士気にもかかわることです。知事がやるべきことは、職員の士気を高めること。士気がないと、県民のサービス向上に繋がりません」

   元特捜主任検事の前田恒彦氏も、法的問題をこう指摘した。

「知事には職員から給付金10万円を強制徴収する権限などありません。メチャクチャな話だなと思っていましたが、報道によると、県独自の感染拡大防止協力支援金を支給するため、基金を創設して職員らから『任意』で拠出を受け、支援金の原資に充てるという話のようです。とはいえ、応じない職員が事実上の不利益を受けることになると、任意の名を借りた強制に等しいわけで、違法な行政措置ではないかと思われます。少なくとも職員からの寄付は匿名とし、寄付者が任意の金額を選べるようにすべきでしょうね」

   ほかにも「カツアゲ」に等しい話だという声が多かった。

「この知事のやろうとしていることは、他人の懐に手を突っ込んで、カネを取ること。普通、そのような行為を泥棒とか窃盗と言います。このご時勢に公務員が給付金もらっていいわけないよなと言って、奪うのであればカツアゲですね。県知事ともあろうものが、恐ろしいことです」
「給付金の趣旨がねじ曲げられている。内閣閣僚や自民党の給付金返上のええかっこしい発言が、地方自治体にまで悪しき同調圧力を及ぼしている。受給するかしないか、受給したらどう活かすかは、個々人の判断に委ねるべき」
「県職員分を取り上げる法的根拠は?知事がそんなこと職務命令したら究極のパワハラだ。企業経営者だったのに、そんなこともわからないのか」

   県庁職員だって、今回のコロナ騒ぎで減収に追い込まれている人いるという指摘も多かった。

「一例ですが、学校が休校になって県職員の配偶者が仕事を休み、子どもの面倒を見ていれば、県職員の家庭の世帯単位での収入は下がっていますよ。それに今は公務員でも非正規の人も多いのが現状です。そういう給与の少ない人からも事実上、没収するつもりですか」

警察、消防、病院、保健所...... 公務員こそ最前線で戦っている

   また、公務員は現在、最前線で戦っているではないかと怒りをぶつける意見も。

「公務員と一括りにしたって警察、消防、公立病院や保健所の医療従事者、事務局、自衛隊の皆さんは現場の最前線で頑張ってくださっている。県職員に限ってもコロナ対応に追われている方々も多い。まず先に高給取りの知事や副知事、県議などの特別職公務員の報酬を削らないと、県職員も『なぜ現場の私達だけ?ふざけんな』と思うことでしょう」

   知事は人気取りのパフォーマンスを狙っているのでは、という疑問の声も多かった。

「こんなことを認めたらあかん。混乱期に出てくる衆愚政治の典型。国民の感情に訴えて世論を形成し、個人の権利を侵害し、ふと気づいたら独裁政治の始まりだ。職員が反対の声を上げにくいことを承知の上で、世論におもねるパフォーマンスという魂胆が見え見え。リーダーの資質のカケラもない。職員の士気も激減するだろう。リーダーの違いで士気と団結が大きく左右されることをこの県知事閣下は知らないのだろう」

   最後に、この声を紹介したい。

「北海道知事の鈴木直道さんは、自らの給料のカットを表明した。その時、記者から一般職の給料はどう考えているかと質問が出た。知事は、『職員は寝る暇もないほど必死で働いています。私はある意味で経営者ですから、給与カットを検討するが、職員については、道民の皆さまにも現状をご理解いただきたいと思います』と発言していた。これぞリーダーです!」

(福田和郎)

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