国債の大量発行を支える「ドラえもん」と化す中央銀行
現在の短期マーケットは、「株価が上昇=ドル上昇」だったのですが、今では「株価上昇=ドル下落」という構図になっています。こうした状況は変わるのでしょうか――。
おそらく、変わります。緊急にドルが必要であった時代は終わろうとしています。
過去数か月、あまりにも市場動乱が続いたために、エコノミストの方々も疲れ、冷静な判断ができなくなってきています。この1~2か月、最も積極的に金融緩和を実施したのは米国です。2度にわたり金利を下げ、その水準はゼロ金利まで下がっています。事実上、無制限の量的緩和政策も始めました。
特に驚かされたのは、FRBの4月9日の政策変更です。市場安定のため、FRBは企業の社債を買うのですが、ジャンクボンド(債権が回収できる可能性が低い債券)まで買い支えると発表しました。ジャンクボンドまで資産として買い入れるとなると、ドルへの信任が揺らぐのではないかと感じさせます。
この先、コロナ対策として、各国は大盤振る舞いします。それゆえ、国債を通常よりかなり多く出しますが、長期金利は微動だにしません。
中央銀行が買うから、金利は落ちないと市場は考えます。しかし、中央銀行はドラえもんのポケットではありません。無限に買って本当にいいのでしょうか。こうした行為は、最終的にドルに影響を及ぼしてくると思います。
ドルの長期下落のスタート地点にいるのかもしれません。(志摩力男)