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ソクラテス、サンデル教授に習う

   そんな親しみやすいタッチとユーモアとは対照的に、エピソードには哲学がモチーフになっているものが少なくない。著者が「あとがき」で明らかにしているが、本書の当初の企画はビジネスパーソン向け哲学紹介の本だったためだ。

   かつてのベストセラー「ソフィーの世界」に触発されたというが、「哲学は売れない」という理由で企画はボツになった。

   企画はボツになったが、その残像がところどころにあって、ビジネスと哲学には、かなりの繋がりがあることが伝わってくる。その一つは、ソクラテスの「産婆術」。ソクラテスの産婆術とは、助産に関係なく、無知の者同士が話し合っているうち、新しい知を生み出すことをいう。著者によれば、現代のビジネスの世界でいう「コーチング」だ。

   数学に素養のないソクラテスが、やはり数学の知識がない友人の召使を呼び、図形前に質問を繰り返す。召使が問われるままに答えるうちに、誰もまだ発見したことがない図形の定理を見つけるシーンが、ソクラテスの弟子、プラトンの著作に描かれている。

   ソクラテスの産婆術を現代で再現しているのが、「ハーバード白熱教室」で知られる哲学者の米ハーバード大学、マイケル・サンデル教授だ。教室で出された意見に自分の解釈を加え質問を投げかけ、その答えにさらに質問し教室全体がそれまで経験したことがないような思考の深み包まれる。

   ソクラテスや、サンデル教授は、「問い」が同じことを別の視点、角度から考えることを促し、イノベーションの触媒になり得ることを体現したのだ。

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