「『独創的な仕事をしろ! 創造的な仕事をやれ!』と命じられても、どうしたらよいかわからない。そんな私と同じように苦しんでいる人は、世の中に多いのではないか」
同じ経験の持ち主である著者が、その苦しみから脱する一助になればと、刊行したのが本書「ひらめかない人のためのイノベーションの技法」だ。
「ひらめかない人のためのイノベーションの技法」(篠原信著)実務教育出版
センスがなくても、コツさえつかめば
著者の篠原信(まこと)さんは、農業・農村に関する国の研究機関で研究員を務める農学博士。子どものころに、人のマネばかりする自分に気づき、以来、創造性がない不器用さに悩み続けているという。
中学時代は「偏差値52」。大学進学では「四苦八苦の末」に3度目の受験で京都大学に合格した。「ひたすら大量に過去問に取り組み、解答を丸暗記するという、どう考えても力技としか言えない不器用さで乗り越えた」という。
不器用な身でも創造的な仕事をする方法はないものか――。研究者となってからも、なお試行錯誤を繰り返した結果、「少しは新しいことができる自信がついてきた」。世界に先駆けて新技術を開発することができ、「独創性がある」と評価されることも増えた。
これまでの経験でわかったことは、「センスがなくても、コツさえつかめば、才能豊かな人と似た結果を出すことは可能」ということ。そのコツのつかみ方をガイドするのが本書だ。
豊富なエピソードを使い、どれも親しみやすいタッチとユーモアで、わかりやすい。