知事たちの苦悩「うちは東京都のようにできません」
ともあれ、緊急事態宣言が全国に拡大されたことで、各県の知事は対応に迫られることになった。飲食店などに営業の自粛を求めても、東京都のように休業に対して協力金を支払う余裕がある自治体は稀だ。日本経済新聞「『全国に網』自治体対策急ぐ 休業要請には温度差」は、そうした知事たちの戸惑いと苦渋のコメントをこう紹介している。
秋田県の佐竹敬久知事「在宅勤務を求めようにも(うちの県では)テレワークの環境も整っていない。感染拡大地域など県外からの流入を抑えるのが主眼になる」
新潟県の花角英世知事「県民にお願いしてきたことを急に変えなければいけないことが今、私には理解できない」
鳥取県の平井伸治知事「鳥取と東京は違う。直ちに休業要請につながるかというと、そうとも言いきれない」
愛媛県の中村時広知事「朝令暮改という言葉が浮かぶ。慌てて変えるのはどうかと思う」
山形県の吉村美栄子知事「政府が出せば効果がある。知事が独自に宣言を出しても様々な規制があった」
......などなどだ。
そして、吉野直也政治部長のコラム「政治はスピードと責任を」を掲載。
「現金給付は国民に一律10万円となった。緊急と銘打ちながら経済対策の議論に1カ月以上もかける。10万円と固まったなら、それこそ煩雑な手続きを省いて少しでも早く国民に届けるのが政治の責任だろう。コロナのえたいの知れない恐怖や不安を和らげるのは迅速な政策しかない」
と訴えたのだった。
日本経済新聞は、非常事態宣言の全国拡大自体が「遅すぎた」として主要紙の中では一番厳しく批判している。社説「ドタバタ劇を演じている場合ではない 地方への感染拡大を防ごう」では、こう書いている。
「大型連休に人の移動が活発になることはわかっていたことだ。なぜ最初から(7都府県ではなく)全国を対象にしなかったのか。外出自粛を早く実施するほど、感染拡大を止める効果は大きくなる。ちぐはぐな対策では、感染はだらだらと続きかねない。
感染状況は地域によって異なる。商業施設などへの休業要請は知事が総合的に判断すべきだ。学校の再開もこれまで通り、地域の判断に任せるのが望ましい。今回の決定に戸惑う地域もあろう。政府は正確な情報や判断の根拠を示すことに務めるべきだ」
(福田和郎)