「医療崩壊を防ぐためにオールジャパンで戦わないと」
しかし、朝日新聞、毎日新聞ともに安倍首相自身の政治的思惑はどうであれ、今回の非常事態宣言の全国拡大については、基本的に反対はしていない。それぞれ外部の専門家の意見を紹介して、医療崩壊阻止のためにはやむを得ない面もあると認めている。
新潟大学の斎藤玲子教授(公衆衛生学)は、「地方は元々病床数が少ないので、中核的な病院で院内感染が起これば一気に受け入れ態勢が崩れる。全国一律に警戒感を高めることは意味がある」と、朝日新聞にコメントを寄せた。
また、大東文化大学の中島一敏教授(感染症疫学)も、「最初の緊急事態が宣言されて以降、患者が全国的に増加傾向にあり、対象地域を拡大する判断は妥当だ」と、毎日新聞に答えている。
一方、読売新聞「スキャナー:GM感染拡大阻止 緊急事態、人の移動最小限に」は、あくまで5月の大型連休が終わるまでに人の移動を最小限にとどめるための狙いであることを強調、4月16日現在で感染者ゼロの岩手県まで含めたのは、こんな危機感が政権にあるからだとした。
「閣僚の1人は岩手県の観光名所・小岩井農場を挙げ、『県外からかなり人が訪れている』と指摘。政府は結局、『遂一追加するより、まとめて一気にやった方がいい』との判断に傾いた」
そして、諮問委員会の委員の中にも「宣言の全国拡大」を認める意見もあったとして、こう書いている。
「ある委員は会議の終了後、『オールジャパンで対応しなければいけない』と強調した」