新型コロナウイルスによる感染の拡大を防止するため、政府が全世帯に配ることを決めた2枚の「布マスク」の戸別配達が、2020年4月17日に始まった。
消費者庁の伊藤明長官は、この配布に便乗して、マスクをめぐる悪徳商法が横行する可能性があるとして注意を喚起。これまでにもマスクをネタにした詐欺が相次いでおり、国民生活センターなどでは再三にわたり「注意喚起」を発している。
「国が代金を請求することは一切ない」
消費者庁の伊藤長官は4月15日の定例記者会見で、政府が2枚のマスクを全世帯へ配布する機会をとらえて、「マスク詐欺」に警戒するよう訴えた。新型コロナウイルスの感染拡大でマスクは品薄に。そのことにつけ込んだ悪徳商法が続発しているからだ。
今回のマスク配布に関連して、伊藤長官は「国が代金を請求することは一切ない」と強調した。
伊藤長官の説明によると、政府のマスク配布に便乗して、注文した覚えのないマスクを送り付けるなどして、代金を請求するような詐欺が頻発する恐れがあるから。全国の消費者センターには、新型コロナウイルス関連の相談が数々寄せられており、「使い捨てマスクが宅配便で届いたが、身に覚えがない」など、マスク関係の相談が急増しているという。
一方、国民生活センターではこれまで、感染の拡大とともに増えてきた「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法」について、たびたび「注意喚起」を発表している。2月20日の「第1弾」を皮切りに、4月13日には「6弾」を数えた。その内容も、マスクに関する相談内容が多い。感染拡大当初から、マスクは入手困難な状況で、詐欺に利用されやすかった。
マスクをめぐる詐欺で、2月に寄せられた相談の手口は「フィッシング」。「マスクを無料で送る。確認を」という内容のメールを送り付け、併記しているURLをクリックさせる手口だ。クリックしてしまうと、パソコンやスマートフォンに不正なアプリがインストールされたり、個人情報を取得されたりする可能性がある。