キャッシュレス化や仮想通貨を使った決済への動きが強まるなど、お金をめぐる変化が急だ。なかには「ついていけない」とこぼす人もいる。
堀江貴文さん初のマネーの教科書という本書「99%の人が気づいていないお金の正体」によると、そうした愚痴が出るのは、マネーリテラシーが十分ではないから。お金は「フォーマットの一種」と、喝破する堀江さん。IT化、デジタル化が進んだ近年は、従来の「フォーマット」にはまらない経済の営みが次々と生まれて活性化しているから、お金をめぐる動きも急になる。
堀江さんは本書で、これまでの「お金の常識」を「ぶっ壊す」と宣言。その先に「お金の正体」が見えてくるという。
「99%の人が気づいていないお金の正体」(堀江貴文著)宝島社
1万円札に1万円分の価値があるのはなぜ
本書は、「第1章・お金とは何か」「第2章・お金の『常識』は間違いだらけ」「第3章・国がやることは信じるな」「第4章・マネー革命が始まっている」「第5章・信用があればお金はいらない」の5部構成。
そのテーマは、お金そのものには価値はなく、わたしたちが本当に大事にしなければならないのは「信用」。お金の正体も「信用」なのだ。「君たちが後生大事に財布にしまいこんでいるのは、信用の多寡に『100円』、『1000円』と数字をつけ、金属片は紙切れに置き換えただけのシロモノ」。
では、1万円札を持っていれば、1万円分のモノやサービスと交換できるのはどうしてか――。それは社会の大多数の人が「1万円札に1万円の価値がある」と信じているから。「『正しい』と信じる人がたくさんいれば、たとえ無茶苦茶な理屈やこじつけでも、それは常識と呼ばれるようになる。同様に『円で買い物できる』と信じる人がたくさんいれば、1万円札はただの紙切れではなくなる」。
米国のドルは世界中で信頼度が高く、インフレが高じるなどして自国の通貨が国内外で信頼を失った国では、国民生活の中で米ドルが使われている例が少なくない。国の中には、自国の通貨がすっかり信用を失い、紙片はただの紙切れとなり、暖を取るために燃やされているケースもある。