新型コロナ感染者、建設・製造で2倍超に拡大 死亡するケースも発生

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   新型コロナウイルスの感染拡大で、清水建設の作業員3人が感染。そのうちの1人が死亡した。同社は、緊急事態宣言が発令された7都府県の工事を中断することを決めた。

   企業信用情報の帝国データバンクによると、清水建設をはじめ、グループ会社や関連会社を含め新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業は、2020年4月3日以降の10日間で約100社が新たに公表。13日までに、累計で210社にのぼった。4月14日の発表。

  • 建設業では、新型コロナウイルスの感染者が増えている(写真はイメージ)
    建設業では、新型コロナウイルスの感染者が増えている(写真はイメージ)
  • 建設業では、新型コロナウイルスの感染者が増えている(写真はイメージ)

建設、小売り...... 業種によっては感染防止難しく

   上場企業の従業員が新型コロナウイルスに感染したケースは、 2月に初めて発生して以降増え続け、 3月は90社超が公表。4月第2週には189社に達していた=下図参照

「新型コロナウイルス」感染者の発生(週別の推移)
「新型コロナウイルス」感染者の発生(週別の推移)
 

   各社とも、在宅勤務の導入やマスクの着用、アルコール消毒の徹底など、従業員の感染防止策を導入している。

   ただ、納期の厳しい建設業や製造業などの業種では感染者が大幅に増加。複数拠点で従業員が感染したケースが相次いだ。また、対面接客せざるを得ない小売業やサービス業でも、従業員が感染するケースが増加している。業種によっては、感染防止が難しいことが浮き彫りになってきた。

   感染者の発生を業種別にみると、最も多かったのは「製造業」の70社。全体の3割超を占め、直近10日間で2倍に増加した。製造業では、自動車や機械や化学、食品など幅広い分野で感染者が相次いでいる。

   日産自動車やいすゞ自動車は、自社の拠点に勤務する従業員が感染。日本新薬は、社外取締役が感染したことを公表した。

   次いで多かったのは「サービス」の38社で、「運輸・通信」「卸売」が各19社、「小売り」の18社が続く。B to C業種となるサービスと小売業で全体の2割超を占めている。

   不特定多数の消費者との接触などで感染リスクの高い小売業では、ウエルシア薬局が千葉県内の店舗に勤務する従業員の感染を公表した。帝国データバンクによると、ウエルシア薬局の、この従業員はマスクを着用し勤務していたという。ドラッグストアやスーパーなどの小売店は、緊急事態宣言における休業要請の対象ではなく、社会インフラとして営業を続けている。

   新型コロナウイルスに従業員が感染した場合、行動履歴の確認や濃厚接触者の特定のほか、各地域の保健所との連携、事業所の一時閉鎖・消毒作業の実施、さらには営業活動の停止にまで至るケースも多い。

   従業員の感染公表が相次いだ建設では、業界全体が数か月にわたり停止する可能性が浮上している。建設は15社で従業員の感染が発覚。10日間で2.5倍に急増している。

   こうしたなか、作業員の感染が判明した清水建設は工事中止や現場の閉鎖を表明。また、 西松建設では緊急事態宣言の発令による工事中止などを表明している。

   帝国データバンクは、大手ゼネコンのこうした動きはジョイントベンチャーなどを組成する他ゼネコン各社にも影響する可能性があり、下請け企業などに大きな影響を及ぼす恐れがある、とみている。

従業員の感染を公表した上場企業(帝国データバンク作成)
従業員の感染を公表した上場企業(帝国データバンク作成)
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