民間企業を辞めて、官公庁へ転職する「民官転職」に興味があるミドル世代は、じつに81.0%にのぼることが、人材採用のエン・ジャパン株式会社の調べでわかった。2020年4月9日に発表した。
市役所や公立学校、各省庁などで働くためには公務員資格が必要だが、近年は資格を持たない外部人材の募集、登用が増加傾向にある。
同社は、運営するサイト「ミドルの転職」を利用している35歳以上のユーザーにアンケート(期間は2020年3月6日~31日)を行い、2634人から回答を得た。
30代は安定した収入、50代は社会貢献を重視
調査によると、民間企業から官公庁への転職について、全体の8割以上(81.0%)が「興味がある」と答えた。その理由で最も多かったのが、「仕事を通じて社会貢献がしたいから」で、57.0%だった。これを年代別にみると、50代が66.0%で、30代、40代の55.0%よりも8ポイント高かった。
2位は「培った能力・スキルを社会に還元したいから」で46.0%、3位は「安定した収入を得たいから」の43.0%だった。
「興味がある」と回答した人に、「民官転職について不安なこと」を聞いたところ、トップ3は「仕事に関する情報が少ない」で58.0%。「選考の難易度」が56.0%、「仕事の探し方がわからない」の48.0%と続いた。ほかにも、「給与」や「選考プロセス」、「スキルが活かせるか」、「民間出身者に対する風当たりの強さ」などがあがった。
一方、「民官転職に興味がない」と回答した人(18.0%)に、その理由を聞いてみると、「官公庁の仕事に魅力を感じない」が44.0%で最も多かった。次いで、「年齢的に難しい」(37.0%)や「官公庁の雰囲気になじめない」(32.0%)などの声があった。
ただし、興味がないと答えた人の51.0%が、副業やテレワークなど、柔軟な働き方が可能であれば「興味を持つ」と回答している。そう答えた人のうち、副業を希望する人は72.0%、在宅勤務(53.0%)やテレワーク(52.0%)を希望する人も5割を超えた。
8割超が「外部人材登用に賛成」
さらに、「行政が、公務員資格を持たない外部の人材を登用すること」については、86.0%の人が「賛成」と答えた。
その理由として、
「行政機関だけでは、どうしても机上の空論になり、現場との乖離が出てしまう。その隙間を民間出身者がうまく埋められたらと思う」(30代女性)
「学校卒業時に公務員に興味を持たなかった有能な人材は多くいるはず。通常の試験では時間と労力がかかりすぎて踏み出せないから、中途採用という手段があることがよい」(50代男性)
という声があった。
一方、反対の人は2.0%と少ないが、その理由には、こんな声があった。
「公務員資格を有することで、義務についてもより尊重する意識が強まると思う」(40代男性)
「行政で働くからには、知識や技能等を一定レベル以上維持するためにも、公務員資格は必要」(40代女性)
また、「どちらでもない」と答えた人(12.0%)からは、
「官公庁、行政といっても一律ではない。その組織内に、課題を解決できる人材がいなければ、外部の人材を採用することになると思う」(30代男性)
「公務員試験を通過することが、本当に公務員としての能力を測れる基準とは思えないが、単なる金や安定性だけを求めて遂行できる職務ではないと思う」(50代男性)
といった声があった。