たとえ話を上手に使えば、会話の達人になれるかも!? 新社会人が「あがらずに話す」ための本

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   新社会人にとっては「話すこと」が、学生時代と勝手の違いが多く、戸惑いだけでは済まず、深刻に悩みにもなるという。

   その原因の一つがコミュニケーション。学生時代に慣れたLINEとスタンプを使ったやり取りで済ますわけにはいかず、慣れなければならないことは数多い。きちんとした直接の面談や電話、ウェブを使った会議システムなど経験のないシーンやツール。しかも、相手は上司や先輩、取引先で、不慣れなうえに緊張もあってあがってしまい、うまく話すことができない。悩みは深まるばかりだ。

   本書「初対面も、電話も、苦手な人も どんな人の前でもあがらない話し方」は、そんな社会人1年生に向けた、コミュニケーション指南の一冊。

「初対面も、電話も、苦手な人も どんな人の前でもあがらない話し方」(麻生けんたろう著)秀和システム
  • 「どんな人の前でもあがらない話し方」とは……
    「どんな人の前でもあがらない話し方」とは……
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著者は元「あがり症」の営業マン

   著者の麻生けんたろうさんは、北海道を中心に活躍するパーソナリティー。大学卒業後の10年間は音響機器メーカーに勤務し、そのころは「あがり症の営業マン時代」を過ごしたと振り返る。

   人見知り、話しベタを克服しようとアナウンサー養成学校に通い、勤務先での札幌転勤を経て独立。そして北海道で「喋り手」として生まれ変わった。

   近年はその経験を生かして、話しベタで悩む経営者や就活生らを対象に個別指導を行うほか、地元の旭川でコミュニケーション力を磨くための勉強会を主宰している。話し方についての著作も数多い。

   本書は自身の経験を基にして、ポイントでは体験談を交えながら「度胸も経験も不要のテクニック」を伝授。それをマスターすれば、営業で結果を得られ、会議で企画が通るチャンスが増し、社内での立場が上がることも請け合いという。また、新社会人にとっては少し気が早いかもしれないが、転職や独立をするときにも「大きな武器になることは間違いない」という。

「天気の話から入ればいい」

   初対面の人や、顔は知っていても話す機会があまりない上司などと一定の時間を過ごさねばならない場合、何か話さなければと思いつつも緊張して何を話せばいいか分からず、気まずい時間だけが流れていく。

   そんな経験をしたことは、社会人1年生ならずとも、思い当たる人が多いのではなかろうか。プライベートでも、相手によっては適当に話をしてやり過ごさねばならないときに、話題に悩むことがあるはずだ。

   しかも、いずれの場合もうまくやり取りが始まっても、会話が思うように続かないことが往々にしてある。

   「お互いの関係性が遠いとき」の話のきっかけは、「天気の話から入ればいい」と著者。「むしろ、お互いにほとんど何も知らない状態で、確実に共通している話題となれば、ほぼ天気に行きつくのは自然の流れ」であり、「社会人が天気の話を避けようとすると、かえって会話がぎごちなくなる」という。

   だが、天気の話となると、誰にも共通で身近な話題ではあるけれど、その分お手軽すぎの指摘もあり、すぐに天気のことを言い出せば相手に「話がおもしろくない人のパターン」と思われかねない。

   それは杞憂、と著者。「緊張して何を話せばいいの、と迷うくらいなら、さっさと天気の話をしていい」。いきなり「話がおもしろい人」と思われることは、ハードルが高すぎて、話題を見つけることもできない人が考えることではない、ということ。本書を読了し上級の心得がわかれば、天気のことからさまざまに話を展開できるようになるという。

新聞を毎日読むか、本書の通読か

   初級者の段階では、一つだけ努力してほしいことがあると著者は言う。

「雨の日なら、『今日は雨ですね』と言うのは卒業しましょう。どんな雨なのかを必ず付け加えてください」

   ずっと降っているのか、降ったり止んだりしているのか。雨粒は大粒なのか、小粒なのか。横なぐりに降っているのか、まっすぐ降り注いでいるのか。それらを観察して、辞典や、あるいはインターネットを使って、降り方を表現する言葉をチェックすることを提案する。

   「仮に、降ったり止んだりを繰り返して、一つ前の駅では晴れていたとしたら、『今日は片時雨(かたしぐれ)ですね。隣の駅で乗ったときは晴れていました』と言ってみてください。間違いなく、あなたの印象はアップします」。天気について普段から語彙を増やすよう努めていれば、サラリとこうしたことを言えるようになる。天気について、語彙ばかりでなく知識も広めるようにすればなお結構。それができているかできていないかが、天気の話から入れる人と入れない人の違いという。

   語彙や知識を身に付けるのに、わざわざ勉強をする必要はない。「新聞の一面をふだんから意識して読んで入れば、自然に身に付いてしまう」もの。

「1週間にたった一つで大丈夫。たった一つでも自分のものにできれば、天気の話にはかなりの自信が持てるようになるはず」

   語彙にたよらずスキルを磨く方法もある。それは、「お疲れさまです。今日はふとんを外に干したいくらい気持ちいいですね」など、天候を具体的にたとえること。

   「たとえ話」が上手な人は「会話力がある」とか「地頭がいい」と評価される。本書では、第6章「まわりから『できる』と思われる人になるテクニック」として、たとえ話について詳しく解説されている。本書を通読する方が、語彙・知識のビルドアップよりは速く「話し方」を身につけられそうだ。

「初対面も、電話も、苦手な人も どんな人の前でもあがらない話し方」
麻生けんたろう著
秀和システム
税別1400円

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