新聞を毎日読むか、本書の通読か
初級者の段階では、一つだけ努力してほしいことがあると著者は言う。
「雨の日なら、『今日は雨ですね』と言うのは卒業しましょう。どんな雨なのかを必ず付け加えてください」
ずっと降っているのか、降ったり止んだりしているのか。雨粒は大粒なのか、小粒なのか。横なぐりに降っているのか、まっすぐ降り注いでいるのか。それらを観察して、辞典や、あるいはインターネットを使って、降り方を表現する言葉をチェックすることを提案する。
「仮に、降ったり止んだりを繰り返して、一つ前の駅では晴れていたとしたら、『今日は片時雨(かたしぐれ)ですね。隣の駅で乗ったときは晴れていました』と言ってみてください。間違いなく、あなたの印象はアップします」。天気について普段から語彙を増やすよう努めていれば、サラリとこうしたことを言えるようになる。天気について、語彙ばかりでなく知識も広めるようにすればなお結構。それができているかできていないかが、天気の話から入れる人と入れない人の違いという。
語彙や知識を身に付けるのに、わざわざ勉強をする必要はない。「新聞の一面をふだんから意識して読んで入れば、自然に身に付いてしまう」もの。
「1週間にたった一つで大丈夫。たった一つでも自分のものにできれば、天気の話にはかなりの自信が持てるようになるはず」
語彙にたよらずスキルを磨く方法もある。それは、「お疲れさまです。今日はふとんを外に干したいくらい気持ちいいですね」など、天候を具体的にたとえること。
「たとえ話」が上手な人は「会話力がある」とか「地頭がいい」と評価される。本書では、第6章「まわりから『できる』と思われる人になるテクニック」として、たとえ話について詳しく解説されている。本書を通読する方が、語彙・知識のビルドアップよりは速く「話し方」を身につけられそうだ。
「初対面も、電話も、苦手な人も どんな人の前でもあがらない話し方」
麻生けんたろう著
秀和システム
税別1400円