新型コロナウイルスによる感染拡大が続くなか、全国各地の企業もさまざまな対策サービスを打ち出している。
政府の非常事態宣言が出されたことで、対象の7都道府県を中心に、その動きが加速している。
「緊急事態宣言」余波の切り札的対策
●アプリ使いスマホで医師に健康・医療相談24時間OK
筑波大学発のベンチャー、株式会社AGREE(アグリ―、茨城県つくば市)は、同社が開発した医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」を、茨城県(大井川和彦知事)の全世帯を対象に2020年9月30日まで無償提供する。同社と茨城県が4月9日に発表した。新型コロナ対策に取り組む県の要請に同社が応じた。
LEBERは「24時間365日スマホで医師に相談ができる」というアプリ。現在150人以上の医師が登録されており、外出自粛などにより病院で受診しづらい状況のなかでも医師に意見をあおぐことができる。同アプリは、茨城県が2019年度の「近未来技術社会実装推進事業」などに採択している。
茨城県は、政府の緊急事態宣言が隣接する埼玉県、千葉県や行き来する人が多い東京都が対象となり、これら地域と同等の感染拡大抑止や医療現場への負担軽減が急務として、対策を講じている。
LEBERを使った相談は無料で回数に制限はない。世帯主を含め家族計5人まで相談できる。今回の無償提供は新型コロナウイルス対策の一環だが、すべての身体や心の不調についての相談が可能。利用には事前登録が必要。
●介護従事者らのメンタルサポート
全国の特別養護老人ホームなど高齢者福祉施設・事業所でつくる全国老人福祉施設協議会(東京都千代田区)は、得津産業医事務所(福岡県北九州市)と提携し、2020年4月8日、新型コロナウイルス感染症の対応に努めている介護従事者等の精神的負荷軽減を図るため、無料で電話相談ができる「介護従事者等のメンタルヘルスサポート窓口」を開設した。
全国にある介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、各施設の介護従事者の並々ならぬ努力で、新型コロナウイルスによる感染は最低限のレベルに抑え込まれている。だが、その対応が長丁場となり、とくにこれから感染拡大が予想されている地域の介護従事者の間では精神的負荷が増しているという。
電話相談窓口開設は、そうした精神的負荷の軽減策の一つ。
●新型コロナ対策ハイヤーで「空港送迎プラン」
観光タクシーやバス事業の株式会社トラン(東京都港区)は「新型コロナウイルス対策ハイヤー」を仕立て、2020年4月7日から、このハイヤーを使った帰国者向けの「成田空港・羽田空港送迎特別プラン」を始めた。
使用されるクルマは、9人乗り「ジャンボハイヤー」。利用客同士の間隔、ドライバーと利用客との間隔を2メートル以上あけるため、利用は最大4人に限られる。
会社出発前に完全除菌と清掃を実施。車内には空気清浄装置が備えられている。運転手は乗務前に検温を行い、マスクを着用して乗務にあたる。利用者の希望により、運転席との間に仕切りの設置が可能という。
料金は、成田空港―東京23区内で、5時~22時が1万5000円、22時~5時が1万8000円など。
●新型コロナウイルス感染症の除菌・消毒サービス
特殊清掃・遺品整理を行うクヨカサービス(仙台市)は、新型コロナウイルスなどの感染症対策として、感染症ガイドラインに基づき効果が見込まれる薬剤を用いた除菌・消毒サービスの提供を始めた。
感染者が発生した企業、医療関連施設・高齢者施設、小中学校、保育園などの消毒サービスを無償で提供。コロナ禍が深刻化するなか、本店を置く仙台地域に対して、なにか出来ることはないかと社内で検討して同サービスの実施を決めた。
同社は仙台本店のほか、福島市、埼玉県加須市、東京都港区、神奈川県小田原市に拠点を持つが、同サービスは当面、仙台本店のみの対応。