新社会人をめぐって毎年のように話題になるのが、社歴が浅いうちの離職率の高さだ。
新卒採用の新入社員が3年以内に離職する割合は約30%とされるが、若手社員を対象にした調査によると、入社後の数年で会社に背を向けたくなることも、また仕事への取り組みに積極性が増すのも、ともに上司との関係性が大きな原因であることがわかった。
スマートフォンを利用した営業支援システムであるSFA(セールス・フォース・オートメーション)の「cyzen(サイゼン)」を展開するレッドフォックス(東京都千代田区)が、2020年4月2に発表した。
調査によると、入社前と比べて「やる気」に変化が生じた理由について聞くと、「やる気があがった」「やる気が下がった」ともに、「業務内容」「上司との関係」「組織の関係」がトップ3で、その割合は67%~45%にのぼる。
つまり、これらの3要素の作用により、「若手社員のやる気を上げることも、下げることもできる」というわけだ。
やる気の変化の理由は「業務内容」(下がった=67%、上がった=59%)がトップだが、「やる気が上がった」だけをみると「上司との関係」も同率=下図参照。調査したレッドフォックスでは、若手社員の業務内容の変更は、組織全体の変更に及ぶことも考えられるので、このことで対策は難しいとみて、
「『上司との関係』で改善を図ることが若手のモチベーション、やる気を上げることに効果的」
と推奨する。
調査では「上司との関係」について、「入社前に比べてやる気が下がった」と答えた人に、「やる気が下がる具体的な上司の行動や特徴」を聞いた。その結果、34%が「怖いと感じる」を答え1位。続いて、「セクハラやパワハラ」(32%)、「評価されていないと感じる」(26%)と続いた。
「上司がさぼっている」「上司のやる気がない」との回答もあった。
同社では、
「上司に対して『怖い』と感じると、若手は上司とのコミュニケーションを避けるようになります。圧をかけて部下を強制的に動かすという発想は古く、今の若手は上司からの圧によって『仕事を頑張ろう』とはなりません。
また、信頼、尊敬できない上司と仕事をすると、部下は上司や会社への期待を持てません。転職のハードルが下がっている時代。若手は迷わず転職を選ぶでしょう」
と指摘している。
なお調査は、全国の20~29歳の会社員を対象に、2020年3月19日~23日にインターネットで実施。300人から回答を得た。