高齢者の運転免許の自主返納 着実に進展も、地域格差は広がるばかり(鷲尾香一)

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地域格差が解消できないワケは......

   都道府県別の返納数の上位と下位は、以下のとおり。

<返納数の上位>      <返納数の下位>
 東京都  6万6288人    鳥取県  2660人
 大阪府  4万6619人    高知県  3115人
 神奈川県 4万6159人    山梨県  3160人
 埼玉県  3万5564人    福井県  3226人
 愛知県  3万4357人    島根県  3836人

   警察庁が2月13日に発表した「令和元年(2019年)における交通死亡事故の発生状況等について」によると、交通事故死者数は前年比317人(9.0%)減少し3215件だった。このうち、65歳以上は同184人(9.4%)減少して1782件となった。

   75歳以上の高齢者による交通死亡事故は、前年比59件(12.8%)減少し、401件となった。このうち、80歳以上は28件(11.1%)減少の224件となっている。

   運転者(原付以上・第1当事者)による年齢層別免許人口10万人当たり死亡事故件数では、75歳未満が3.1件、75歳以上が6.9件、80歳以上が9.8件となっており、75歳以上で7件を割り込み、80歳以上で10件を割り込むなど着実に減少している。

   こうした高齢者の自動車運転による死亡事故の減少の背景には、運転免許の返納増加が寄与していることがある。しかしながら、前述のように運転免許の返納には都道府県で大きな格差があり、この地域格差は拡大傾向にある。

   この運転免許返納の地域格差には、簡単に解決することが難しい「高齢者が運転免許を返納した後の移動手段が確保」という問題が大きくのしかかっている。

   今後も高齢者の自動車運転事故を減少していくためにも、公共交通手段の拡充や高齢者運転教習の充実など、多方面からの対策を行うことが重要だ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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