2020年2月末から新型コロナウイルスが猛威をふるっており、世界中の金融市場に波及しています。その影響は仮想通貨にも及び、ビットコイン(BTC)は100万円台から、一時40万円台に急落するほどの落ち込みとなりました。株式市場の急落に引っ張られたカタチとなっています。
今後、ビットコインはどうなるのでしょうか。イベントや理論価格などから、先行きを見ていきいきたいと思います。
現金に戻す動きがビットコインにも影響か
◆ビットコインの日足チャート
ビットコインの価格が100万円から、一時40万円台にまで急落しました。今回のコロナ・ショックでは、米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均(NYダウ)の大暴落が印象的でした。特にFRB(米連邦準備制度理事会)が1.0%もの緊急利下げを行った3月16日に市場は驚き、一時は前営業日比の3000ドル安となるほどの暴落を記録。これはリーマン・ショック時の下げ幅を超える規模となりました。
さて、リスク回避の時に買われる代表的な金融商品と言えば、金(ゴールド)です。当初は、リスク回避の動きから大きく買われたゴールドですが、最終的にはコロナ・ショックには勝てずに売られてしまいました。
◆金(ゴールド)の日足チャート
これはつまり、世界中の投資家が保有している株式や債券などの金融商品から、現金に戻す動きが起きているといえます。そのため、当初は小幅な下落で済んでいたビットコインも一斉に売られてしまったというわけです。
2月後半以降、ビットコインの値動きは株式市場との連動性が高くなってきました。ただし、反発力はNYダウよりも強くなっています。
◆ビットコインとNYダウの日足チャート
「反発」が期待されるビットコインの半減期
ビットコインの反発が強い背景には、2020年5月に予定されている半減期が大きいでしょう。
参考:上昇するビットコイン! その背景にある半減期とはなにか?(J-CASTニュース 会社ウォッチ 2020年3月10日付)
半減期とは、ビットコインのマイニング報酬が半分になってしまう時期のことを指します。市場で売却されるビットコインの量が半減することで、価格は上昇しやすいと考えられており、過去2回の半減期の前後では大きく上昇しています。
また、過去の4~6月の上昇率が高いところも、安くなったところは買いやすい要因のひとつでしょう。
2016年から2019年のこの時期のビットコインの平均的な上昇率はなんと60%を超えます。この背景には、マイニング市況の好転や、年に一度のブロックチェーン・仮想通貨関連の大規模イベントが行われるなどの要因があるためです。
参考:ビットコイン価格が急上昇! 「復活」の原因を探ると.....(J-CASTニュース 会社ウォッチ 2019年6月13日付)
こういった材料も控えているため、仮想通貨業界の「大物」は、前向きな発言をしています。
世界最大規模の仮想通貨取引所のCEO(最高経営責任者)であるジャオ・チャンポン氏は、世界的な金融緩和と供給が限られているビットコインを比較して「まったく心配していない」とコメントしています。
また、仮想通貨投資企業のモルガン・クリーク・デジタル共同ソ業者のアンソニー・ポンプリアーノ氏は、コロナ・ショックに端を発する経済危機の中で、「ビットコインがあらゆる資産の中で最大のパフォーマンスとなる」とコメント。今後2年間で、最低でも2万ドル(約220万円)最大で10万ドル(1100万円)に到達すると分析しています。
仮想通貨が外出禁止令のピンチを打破する?
この二人の意見で共通しているのが、中央銀行がいくらでも紙幣を印刷されることに対して、ビットコインの供給量は変化しないという点です。また、ビットコインはサブプライムやリーマン・ショックなどの金融危機のさなかに誕生したことから、価値の保管および決済手段としての信頼性が高まる、ともコメントしています。
そんななか、イタリアでは銀行がビットコインの取引を開始しました。新型コロナウイルスが猛威をふるうイタリアでは、外出禁止令が出されており、銀行を利用する人は従来のようにお金を送ったり、受け取ったりすることが困難になっていると感じているようです。
このような事態は、多くの人がビットコインなどの仮想通貨を利用したサービスが困難な状況を打破すると考えられているようです。
またイタリア赤十字社は、コロナウイルス対策のため、仮想通貨で寄付を受け付けていることが明らかにしました。
金融危機の最中に誕生したビットコイン。再び訪れた未曾有の事態に、その真価が問われることになります。(ひろぴー)