黒スーツが苦手なわたしの選んだ「就活の制服」
初めのうちは、スーツという指定がない限り、TPOを考えたうえで綺麗目な私服を選び、面接や説明会に臨んだ。しばらくして面接に進む機会が多くなってくると、「やはり面接という場にふさわしい服装はスーツなのかな」と考えるようになった。でも、みんなと同じ真っ黒スーツにはやっぱり抵抗がある。
そこで、「スーツ」という枠の中でいかに自分らしくいるか、ということをマジメに考えた。その結果行き着いた先は、ダークグレーのスーツに薄ピンクのワイシャツを着て、耳には小粒のゴールドピアスをつけること。それからはこのスタイルが私の「就活の制服」になった。
するとどうだろう。黒スーツを身に着けようとした時はあれほど気分が乗らなかったのに、途端にスーツを着るのが楽しくなってきた。薄ピンクのワイシャツもゴールドのピアスも、なんだかちょっと「仕事ができるキャリアウーマン」になったような気持ちになれて楽しい。やっと、「私らしく」就活ができる方法を見つけられた気がした。
誤解がないように言っておくと、自分を表現できる服装なら何を着てもいいと主張しているわけではない。もちろん、「黒スーツは悪だ!」ということを主張しているわけでもない。黒スーツで、ビシッとしてやる気が出る!という人はどんどん着てほしいと思う。
けれど、就活生の中には「本当は着たくない」と思っている人もいるかもしれない。私が主張したいのは、そんな人たちがもっと「自分らしく」就活をするために、黒スーツじゃない選択肢もありじゃない? ということなのだ。
私は私らしく。あなたはあなたらしく。それぞれのお気に入りを身に纏って、堂々としていればいい。それで選考に落とされたのならば、その会社はあなたには合わない場所だった。それだけだと思うのだ。
現代の就活の違和感への、小さな抵抗。だから、私はグレーのスーツと、ピンクのワイシャツと、ゴールドのピアスで就活をする。(叶多凛)