身に着けるものから見えてくる人間性や雰囲気があるはず
たしかに、みんなが黒のリクルートスーツを着て就活に臨むことにはメリットもある。それは、就活生一人ひとりのスタートラインを揃えることができる点だ。みんな同じような黒のスーツを着ているのだから、服装や見た目から判断を下すことは少なくなり、内面にフォーカスした採用活動が行えるかもしれない。
しかし私は「その人がどんなものを身に着けているのか」という観点も、その人物を見極めるうえで大切な要素になるのではないかと思う。もちろん、服のセンスや趣味、見た目だけで判断されることはあってはならない。けれども、身に着けるものから見えてくる人間性やその人の雰囲気というのもあるのではないか、と思うのだ。
黒のリクルートスーツに対してそんな複雑な思いを抱く私は、周りの就活生が真っ黒なスーツを着ているのを見れば見るほど、それを着たくないと思ってしまった。
自分でも引くほどの天邪鬼さであるが、自分の気持ちに嘘はつきたくなかった。要するに、イタイ奴なのかもしれない。
でも、みんな一緒の真っ黒スーツに身を包んでいたら、なんだか「わたし」が壊れていくような気がして途端にやる気がなくなってしまう。だから、潔く開き直った。「そんなに黒スーツが嫌なら、いっそ自分がハッピーな気持ちを保てる服装で就活しよう。その服装で選考に落とされたら、合わない企業だということだな。」と思い込むことに決めた。