「手を出さない、動かない、立ち止まる」臆病者になれ!
多くの経営者が「チャレンジ精神を!」とハッパをかける中で、自動車触媒専門メーカー、キャタラーの砂川博明社長は、「地球環境を守る」というモットーから「臆病者になれ!」と強調したのだった。
「常に臆病者と呼ばれる勇気を持って判断、行動してください。行動する前に少しでも不安を感じたり、危ないかなと思ったりしたときには、『手を出さない、動かない、立ち止まる』こと。仕事は、ダイナミックに、アグレッシブにやってもらいたいのですが、安全については、今日から細心の注意を払って行動する、臆病者になってください」
化学系専門商社・長瀬産業の朝倉研二社長は、熱い正義感あふれる人だった。
「長瀬産業には長年ブレずに掲げてきた理念があります。『誠実に正道を歩む』です。私はこの理念に誇りを持っています。トランプ大統領に代表されるポピュリズムの台頭によって、二酸化炭素排出による環境破壊から化学製品に求められる基準が日々変わっています。一方、経済界での女性の登用は急ピッチで進み、日々の働き方も激変しつつあります。これらはすべて我々NAGASEグループに直接関わる変化です。
単純にものを右から左へただ買って売る、という旧来の商社モデルが必要とされなくなり、我々が『変わらなければいけない』という危機感を持っています。皆さん、待ったなしです。一日も早く皆さんが長瀬産業の変化の原動力となり、将来の成長エンジンとなることを期待しています」
そして、朝倉社長は最近のニュースにも触れて、こう語ったのだった。
「RESPECT(リスペクト)という言葉を大事にしてください。社会人になった今、皆さんは人としての品格が問われます。うそをつく、隠す、またニュースでよく出てくる改ざん、隠ぺい、こうしたことはもちろんのこと、上から目線で人を見たり、高圧的な態度で人と接したり、人の失敗を笑ったりすることで人としての品格を損なってしまいます。RESPECT、そのまま訳せば尊敬する、尊重するということ。私は皆さんに54名の同期を大事にして一緒に仕事を作り上げよう、という気持ちを持ち続けて欲しいという思いも込めて、この言葉を贈ります」
化粧品・化学製品のクラシエホールディングス(旧カネボウ)の岩倉昌弘社長も熱いエールを送った。「GO! CRAZY」(ゴー!クレイジー)である。
「CRAZYとは常識を超え、革新し、夢中になり、変化し、楽しむ、そして、誰かと組んで 世界を夢中にし、一生に影響する仕事をする。大切なのは何かにCRAZYになれたら、あなたたちのこれからの人生が圧倒的に面白くなるということです。私はクラシエのすべての事業、すべての部署、すべての社員にCRAZYになってほしいと願っています。そして、『夢中になれる明日』を作ってほしい。大きな夢を胸に歩き出した皆さんと、実りあるこれからを夢中になって過ごしたいと思います」
一方、トンボ鉛筆の小川晃弘社長は13人の新入社員を前に、ジンワリした言葉を贈った。
「トンボ鉛筆は107年前に創立した歴史の長いメーカーです。文具が提供するのは小さい喜びですが、そういう気持ちをお届けすることが大切なのです。全社がワンチームになってトンボ鉛筆のミッションを推進しましょう」
これに応えて、新入社員を代表して鬼頭華奈さんがこう挨拶したのだった。
「トンボ鉛筆の製品は、子供から大人まで幅広い年代の方々に使われています。人々の生活に関わり、文房具を通して新しい価値を生み出すことに携われることを大変うれしく感じています」
(福田和郎)