コロナ危機に「耐える」経営の極意 銀行借り入れは「借りられるときに目一杯、借りろ」!(大関暁夫)

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

「晴れた日」の金利負担は「保険」だと思いなさい!?

   このアドバイスは、じつはこのS社に限ったことではなく、「銀行から運転資金の借入れ売り込みがあったのだが、今資金的に特段借り入れの必要性を感じていない。こういう売り込みは受けるべきか断るべきか」という質問をされた時の、私の統一回答でもあります。

   そのココロは何か――。元銀行員の私が申し上げるのは口幅ったいのですが、銀行は世に言われるとおり「晴れの日に傘を貸し、雨の日には傘を貸さない」取引姿勢が基本です。であるならば、「晴れの日に傘を貸したい」と言われた折には、「来るべき(いつかは分かりませんが)雨に日に備えて傘を借りておきなさい」と、アドバイスをさせていただいているのです。

   「当社には今、信用でいくらまで貸していただけますか」と取引銀行のクレジットラインを確認したうえで、「可能な限り目一杯借りておけ」とも申し上げています。

   こう申し上げるとS社を含め、たいていの社長は「そんなことをしたら、金利がもったいない」と借り入れを渋るのが常です。私が考えるこの金利負担に対する理解は、「晴れた日の借り入れは、個人で申し上げるなら万が一の時の治療費負担に備えた生命保険です。すなわち金利は保険料です。社長自身が、保険料がかかるから保険には入らない主義だという信念でもお持ちでないなら、ご自身と同じく会社も保険に入っておきましょう」ということなのです。

   現下の問題解決には繋がらない話ではありますが、企業経営に付きものの「突発」という出来事に対する備えの考え方として、この機会にご記憶にとどめていただければ幸いです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト