コロナ危機に「耐える」経営の極意 銀行借り入れは「借りられるときに目一杯、借りろ」!(大関暁夫)

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銀行は「雨の日には傘を貸さない」

   令和の時代にふさわしい対応は、中小企業にとって煩雑な必要書類提出を前提とした融資ではないでしょう。フィンテックを活用するなら、中小企業は取引銀行に必要額を申し出るだけで、特別な資料提出を求めなくとも取引履歴や口座データを元にAIで緊急融資審査をおこない資金を3日以内に融資する。かつ協会保証は全案件融資金額100%の保証付与を前提として事後承認で手続きをする、その程度の対応は十分可能なはずです。

   一部の銀行で緊急融資に関して、これに近い新しい動きが出始めているようですが、救済支援の大もとの政府が旧態然とした政府系金融機関の審査を軸とした緊急融資取り扱いを、何の疑問もなく公表している対応には、中小企業を支援する立場からは憤りに近い感情すら覚えるところです。

   先週末のことでしたが、以前経営アドバイザリーでお手伝いをしていた企業S社の社長から突然電話をいただきました。瞬間的に「新型コロナ対応に関する相談か?」と思いましたが、聞いてみると相談ではなく過去のアドバイスに対する感謝、お礼の電話でした。

「世間の中小企業は今、新型コロナ危機で大変な苦境に陥っています。特に問題は、資金繰りです。売り上げ激減の長期化によって、そろそろ資金繰りに苦しみ始めた企業が続出しています。私の仕事仲間の企業でも、軒並み同じような悩みを話し始めています。
そして共通して言うのは、政府の緊急融資は手続きがよくわからない。取引銀行は新型コロナの影響による業績悪化に対して、表向きはともかく実情はやはりおよび腰とのこと。その点でうちは、大関さんのアドバイスで当面の手元資金に余裕があるので本当に助かっています。この資金をうまく使いながら、コロナ不況を乗り越えるべく次なる一手を考えていけますから。あの折のアドバイス本当にありがとうございました」

   私は最初、過去のどのアドバイスのことなのかピンと来なかったのですが、社長の話を聞くうちに「銀行融資は借りられる時に、借りられるだけ借りておけ」というアドバイスのことを言っているのだということがわかってきました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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